『トワイライト・ウォリアーズ 決戦！九龍城砦』香港アクション＆ノスタルジーの向こう側へ

『トワイライト・ウォリアーズ 決戦！九龍城砦』あらすじ

九龍城砦（きゅうりゅうじょうさい）――かつて無数の黒社会が野望を燃やし、覇権を争っていた。80年代、香港へ密入国した若者、陳洛軍（チャン･ロッグワン）は、黒社会の掟に逆らったことで組織に追われ、運命に導かれるように九龍城砦へ逃げ込む。そこで住民たちに受け入れられ、絆を深めながら仲間と出会い、友情を育んでいく。やがて、九龍城砦を巻き込んだ争いが激化する中、陳洛軍たちはそれぞれの信念を胸に、命を懸けた最後の戦いに挑む――。

Index

• 九龍城砦をめぐって
• 殴る、飛ぶ、刺す、撃つ！
• 「香港」と「香港映画」へのメッセージ

九龍城砦をめぐって

　流れ者の男が、ひょんなことからたどりついたスラム街を守るため、住民たちとともに立ち上がる――。映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦！九龍城砦』（24）は、かつての香港で唯一無二の存在感を誇った巨大城塞「九龍城砦（九龍寨城）」が舞台のアクション大作。本国では興行収入1億香港ドルを超える大ヒット、世界でも大きな注目を浴びた一本だ。

　清朝時代、香港の九龍半島に軍事拠点として築かれた九龍城砦には、第二次世界大戦後に大量の難民が流入。違法に建てられた高層ビルが乱立し、住民と犯罪組織が共存する無政府状態の街となった。狭い城砦の内部では狭い通路や路地が複雑に入り組み、最盛期には約3～5万人が生活していたといわれる。

『トワイライト・ウォリアーズ 決戦！九龍城砦』©2024 Media Asia Film Production Limited Entertaining Power Co. Limited One Cool Film Production Limited Lian Ray Pictures Co., Ltd All Rights Reserved.

　映画は20世紀の中ごろ、九龍城砦の支配をめぐり争った男たちの物語から始まる。街を牛耳る雷震東［読み：レイ・ジャンドン］は、“殺人王”と呼ばれる陳占［チャン・ジム］を右腕として一大勢力を築き上げていた。これに刃向かったのが、“竜巻”こと龍捲風［ロンギュンフォン］率いる新勢力。ついに龍捲風は陳占を倒し、九龍城砦を手中に収める。

　時は流れて1980年代、香港に密航してきた陳洛軍［チャン･ロッグワン］は、生活のため身分証の発行を求めていた。しかし、“大ボス”と呼ばれる男は陳洛軍を裏切り、わずかな持ち金をだまし取る。怒った陳洛軍はクスリを奪うと、“大ボス”の補佐役である王九［ウォンガウ］をかわし、命からがら九龍城砦に逃げ込んだ。

　九龍城砦にトラブルを持ち込んだ陳洛軍だったが、今も九龍城砦を取り仕切る龍捲風に気に入られ、城砦の一角で暮らしはじめる。龍捲風の右腕である信一［ソンヤッ］、医師兼アダルトビデオ屋の四仔［セイジャイ］、九龍城砦に出入りするヤクザの十二少［サップイー］と絆で結ばれたが、そのころ“大ボス”は、ある秘密をネタに九龍城砦を我がものにしようと企んでいた……。

殴る、飛ぶ、刺す、撃つ！