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『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』時代の0.5歩先を予見したフェイク捏造ブラックコメディ

(c)Photofest / Getty Images

『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』時代の0.5歩先を予見したフェイク捏造ブラックコメディ

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半歩先どころか現代を予見!?



 この映画の誕生から25年以上が過ぎた。そして2024年、ドナルド・トランプが返り咲いた大統領選の行く末を眺めながら、本作の内容を思い出した人も多かったはず。


 あれから時代はどう変わっただろう。今やフェイクという概念が浸透し過ぎて、映像が真実味を持つ時代などとうに過ぎ去り、人やコミュニティや主張の数だけ真実や真相が無数に乱立している状況だ。



 『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』(c)Photofest / Getty Images


 もしもこの映画を現代版にリメイクするとしたら、様相や形態が全く違うものに置き換わるのは必定。特徴的な帽子に蝶ネクタイ姿のデ・ニーロのような策士が登場する余地はないだろう。しかし、見方を変えると、事の核心部分はあの頃と一向に変わっていないようにも思える。要は言葉であれ映像でれ、いかに囲い込んだ人々にとって信じるに足る、心地よくも刺激的なリアリティを構築し、絶えず供給していくかーー。


 『ワグ・ザ・ドッグ』は四半世紀を経てなお全く威力を失わず堪能できる名作だ。と同時に、政治や社会、情報技術を見つめるバロメーターであるとも言える。昔は笑いながら見ていた我々も、今この映画のメッセージを改めて直視し、それがあまりに腑に落ちるからこそ、浮かんでくるのは苦笑いばかり。この先の四半世紀、評価はどう変わっていくだろう。本作の真価を見極めるのは次の世代の人たちの役割かもしれない。


参考記事URL

https://www.vanityfair.com/hollywood/2022/12/the-oral-history-of-wag-the-dog

https://edition.cnn.com/ALLPOLITICS/1998/08/21/wag.the.dog/index.html?_s=PM:ALLPOLITICS



文:牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。



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