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『HERE 時を超えて』時空を超越し群像劇を紡ぐ、“ここ”というアングル
2025.04.09
『フォレスト・ガンプ』のキャスト&スタッフを再結集
3つ目として行き着くのは、やはり『フォレスト・ガンプ』のこと。あの作品ではガンプという主人公を主軸として、その周囲を激動のアメリカ現代史がぐるぐると渦巻いていた。
本作はその試みを、「人」から「場所」へ置き換えたものと解釈することもできる。つまり、「ここ」という枠組みの方を主軸とし、その周囲を数億年規模の時間や、そこで生まれては去っていく生命、人間が織りなすかけがえのない出来事の数々が、ぐるぐると渦巻いていくのだ。
『ガンプ』の主演キャスト(トム・ハンクス&ロビン・ライト)や主要スタッフ(脚本、撮影、音楽)を集結させ、なんら特別ではない平凡な人々の生きた証を、巨大な時間の流れの中でタペストリーのように織りなしてみせた本作。70代のゼメキスがたどり着いた、温もりあふれる境地を感じずにいられない。
『HERE 時を超えて』©2024 Miramax Distribution Services, LLC. All Rights Reserved.
かくも、この映画は途方もなく、その発想(原作の力が大きい)と描き方には羽根のような軽さがある。ある意味では、何千万年、数億年の単位で「ここ」にあり続ける神の視点の物語と呼ぶこともできるし、はたまた、ある日この地球上に舞い降りた宇宙人が、この地の一点に堆積した歴史や記憶のサンプルを採取したかのような趣きさえある。
気にいるか気に入らないかは人それぞれの感受性にお任せするとして、少なくとも我々が滅多にお目にかかることのできないタイプの映像作品であることは確かだ。
1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。
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『HERE 時を越えて』
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中
配給:キノフィルムズ
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