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『コンタクト』未知なる感情をどう表現するか?特殊効果との融合によって進化を遂げたジョディ・フォスターの名演

(c)2009 Warner Bros. Entertaiment Inc. All rights reserved.

『コンタクト』未知なる感情をどう表現するか?特殊効果との融合によって進化を遂げたジョディ・フォスターの名演

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 ※本記事は、物語の結末に触れていますので、未見の方は映画鑑賞後にお楽しみいただくことをお勧めします。


『コンタクト』あらすじ

電波天文学者エリナー”エリー”・アロウェイ博士は、幼い頃からある答えを求めて続けてきた。「なぜ、我々はここにいるのか。我々はいったい何者なのか」。やがて、そんな彼女の願いが本当に天に届いたかのように、そのメッセージは宇宙から送られてきた。科学者として、女性として、人間として、エリーはたった一人でそのメッセージに答える決心をする。大宇宙を舞台に、人間の存在について考える、人間のための物語。


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映像化不可能と思われた企画に挑む



 名匠ロバート・ゼメキスのフィルモグラフィーを紐解くと、年代ごとに彼のテーマが移り変わっていくのが見て取れる。20代の頃は、長編デビュー作『抱きしめたい』(78)を皮切りに、なんとか結果を出そうと情熱を燃やし、30代になると『バック・トゥ・ザ・フューチャー』3部作で一大旋風を巻き起こす。そして40代はというと、これまで積み上げてきた「特殊効果」をさらに進化させるべく、新たな表現手法の確立に向けて絶えず挑戦を続けた日々であった。


 1994年、42歳で『フォレスト・ガンプ』でアカデミー賞作品賞や監督賞を始めとする6部門の受賞を受賞。すでに栄光が天井まで達したかに思えた時、彼の視野が新たに捉えたのは「宇宙」だった。アメリカの天体物理学者であるカール・セーガンの著書を映画化した『コンタクト』(97)で、さらなる高みを目指したのだ。


本作はその壮大さゆえに映像化も困難を極め、実に10年以上の長きにわたり試行錯誤が繰り返されてきたと言われる。初期には『キリング・フィールド』で知られるローランド・ジョフィや『マッド・マックス』シリーズのジョージ・ミラーらが監督として準備を進めていたようだが、いずれも軌道に乗ることなく降板。最終的に白羽の矢が立ったのがロバート・ゼメキスだった。


 この時、ゼメキスは常連スタッフ7、8名を集めて、本作に関する簡単な概略を説明した上で、「さて、やるべきか、やらざるべきか。どうしよう?」と聞いた。スタッフの答えはもちろん「YES」。誰もがこの宇宙に向けての新たな挑戦を前に、興奮を隠せなかったのである。



『コンタクト』(c)2009 Warner Bros. Entertaiment Inc. All rights reserved.


 未知なる挑戦に胸を高鳴らせていたのは、主演のジョディ・フォスターも同じだったことだろう。


 『告発の行方』(88)と『羊たちの沈黙』(91)でアカデミー賞の主演女優賞を獲得済みだったフォスター。新たな高みを目指そうと監督業やプロデュース業にも進出していた彼女が、さらなる表現の可能性を求めてSF超大作へ飛び込んだことはちょっとした事件だった。彼女がこれほどの特殊効果に満ちた作品に主演するのは初めてのこと。名演と特殊効果は諸刃の剣と言われることもあるが、この時、フォスターはゼメキスのもたらす可能性に賭けてみたいと考えたのだろう。



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