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『コンタクト』未知なる感情をどう表現するか?特殊効果との融合によって進化を遂げたジョディ・フォスターの名演

『コンタクト』未知なる感情をどう表現するか?特殊効果との融合によって進化を遂げたジョディ・フォスターの名演


特殊効果と融合し進化したジョディ・フォスターの演技



 では、肝心の命題に戻ろう。『コンタクト』における、名女優と特殊効果との相性はどうだったのか。もちろん本作においてジョディ・フォスターが並々ならぬ存在感を発揮していることは言うまでもない。その上で、改めてつぶさに見ていくと、「特殊効果のこんな使い方があるのか!」と驚かされる場面があった。彼女の演技と特殊効果がハイブリッドに融合したワンシーンが秘められているのである。


 それはクライマックス、ヒロインがワームホールを抜けて、黄金色に輝く星たちを目の当たりにする場面。この刹那、彼女は目を大きく見開き、一個人の演技の限界をはるかに超えたような、言葉では言い尽くせぬ表情を浮かべる。(2時間を過ぎたあたり)


 撮影時、フォスターは何もないブルースクリーンを見つめながら演技に徹していたわけだが、この「未知なるものに触れた」という体(てい)の彼女のリアクションには何とも神がかったものがあった。その境地へと表現を高めるために、彼らは具体的にどんな方法を用いたのか。


 ここでゼメキスや特殊効果チームが知恵を絞った末に導き出したのは、またもや複雑なものを複雑なままで提示する手法だった。ゼメキスはフォスターに対し、顔の位置を動かさずに同じ場面を6つのパターンで演じるように求めたという。




 最初は幸せを噛みしめるように。次に悲しみを堪えるように。今度は目の前のものに恐怖を感じるかのように。残りはこれらを織り交ぜた感情にて演じられ、スタッフはこうして撮り上げたものを材料として、さらに小さい頃のエリーの表情をも取り入れながら、その全てを混ぜ合わせることで一連の「言葉にならない表情」を仕立てていった。


 おそらく、ジョディ・フォスターがいかに優れた女優であろうと、このような演技を自らのイマジネーションだけで作り出すことはできなかったろう。ゼメキスも「たった一度の演技では、これほどの感情表現は不可能」と語るように、このシーンは幾つもの彼女の演技を特殊効果によって掛け合わせることで生まれた、唯一無二のハイブリッドな「融合体」だったわけだ。


 かつて『フォレスト・ガンプ』でトム・ハンクスを起用し映像革命を成し遂げたように、ゼメキスはハリウッド随一の名優たちの演技を、ただ単純にありがたがって享受するようなことはしない。それすらも材料として駆使しながら、素材の味わいと感動を引き出し、それらを何倍にも増幅させようとするのである。



 あれから22年が経ち、特殊効果の技術も飛躍的な進化を遂げているが、『コンタクト』を観ると、大切なのは技術ではなく、その全てを取りまとめて司る創造性であることに改めて気づかされる。ゼメキスの『BTTF』シリーズや『フォレスト・ガンプ』がそうであるように、本作もまた、観るたびに発見や学びの多い、ある意味、映画の教科書として、これからも末長く愛され続けていくことだろう。



文: 牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンⅡ』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。



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『コンタクト』

ブルーレイ ¥2,381+税/DVD特別版 ¥1,429 +税

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