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『フライト』ロバート・ゼメキスがサスペンスに活用した、高度な記号表現とは ※注!ネタバレ含みます。

(c)Photofest / Getty Images

『フライト』ロバート・ゼメキスがサスペンスに活用した、高度な記号表現とは ※注!ネタバレ含みます。


※本記事は物語の結末に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。


 「こんにちは! 私はキャリー・フィッシャー。レイア姫を演じたアルコール依存症です。」


 これはキャリー・フィッシャーが講演会やファン・ミーティングなどで挨拶する時の、つかみのギャグだ。


 映画の中などで、アルコール依存症の人々が円座を組んで自分の経験を話し合う場面がよく登場する。あれは「Alcoholics Anonymous」通称「AA」という、アルコール依存症の人々の自助グループの集会である。キャリー・フィッシャーの自己紹介ギャグは「AA」の集会で名前を言ってからアルコール依存症だと告白することに所以した、自虐ギャグなのだ。


Index


法廷サスペンス…… じゃない!?



 映画では、最初に映る主人公の様子は「これから、こういう人物の話をしますよ」という自己紹介のようなものである。その点『フライト』の主人公ウィップ(デンゼル・ワシントン)の「自己紹介」は強烈だ。


 空の酒瓶が何本も転がるホテルの一室。かかってきた電話の相手は離婚した妻だ。話の内容は子供の学費を払いたくないといったヒドいもの。全裸の女性とマリファナを回し飲みし、手近にあった微かに中身が残った瓶から酒をグイっと飲み干し、電話を切るとテーブルの上に敷かれたコカインの白い粉の列を鼻から吸い込む。短いシーンながら、主人公ウィップのクズな人間性を見事に表している。



 ウィップは国内線旅客機の機長として、フロリダ州オーランドからジョージア州アトランタを目指す。熟練の技術と知識で積乱雲を抜け、上空へ飛び立つのだが、機体の故障により制御不能となった旅客機はどんどん高度を下げてしまう。ウィップは高度を制御する舵の故障だと見抜き、背面飛行で高度を保ち、緊急着陸を成功させる。


 事故後、ウィップは多くの乗客を救った英雄として時の人となるが、血液からアルコールが検出されたことで、今度は数名とはいえ死者を出してしまったことの過失致死罪を問われる身になってしまう。


 こんな設定であれば、政治的なかけひきや証拠をめぐる攻防戦など、スリリングな法廷劇に仕立てていくのが常套手段だろう。しかし、監督のロバート・ゼメキスはそこへはフォーカスを合わせずに物語を紡いでいく。



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