1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. サスカッチ・サンセット
  4. 『サスカッチ・サンセット』ビッグフットの知られざる生態がここに!?頭で考えずに本能で味わう”セリフなし”ネイチャームービー
『サスカッチ・サンセット』ビッグフットの知られざる生態がここに!?頭で考えずに本能で味わう”セリフなし”ネイチャームービー

©2023 Cos Mor IV, LLC. All rights reserved

『サスカッチ・サンセット』ビッグフットの知られざる生態がここに!?頭で考えずに本能で味わう”セリフなし”ネイチャームービー

PAGES


キャストに名を連ねた俳優たち



 ところで、本作にまつわるもう一つのUMA、都市伝説的な要素を挙げるなら、それはまさしくライリー・キーオやジェシー・アイゼンバーグといった名だたる俳優が出演している点だろう。


 筆者は当初、この映画にアイゼンバーグが出ていることを作品ポスター等で知ってはいたが、何の役かは全く知らぬまま、本編中、見慣れた彼の顔が映し出されるのをひたすら待ち続けた。しかし前述の通り、本作には人間の姿が一度も登場しない。そのまま物語が暗転し幕を下ろした瞬間、私は彼が「サスカッチ役」だったことを初めて理解し、愕然とするしかなかった。


 彼らは、日々2時間かけて毛むくじゃらの着ぐるみスーツと特殊メイクにすっぽりと身を包んで撮影に備えた。カメラが回ると、唸りや咆哮、身振りや手振りだけが物を言う。素顔を晒すことは一度もない。本当にどうかしている。唯一、瞳の動きや輝きに関しては生身のものだ。



『サスカッチ・サンセット』©2023 Cos Mor IV, LLC. All rights reserved


 もちろん、顔が出ないことに関しては、役者陣も最初から了承済み。アイゼンバーグはゼルナー兄弟から「ぜひ読んでほしい」と手渡された脚本に目を通すや心底惚れ込み、単に出演するだけでなく、この映画のために自分に何ができるのかを真剣に考えたと言う。結果、彼はプロデューサーとしても名を連ねている(*1)。


 俳優陣は役作りの過程で、アイゼンバーグ主演作『沈黙のレジスタンス〜ユダヤ孤児を救った芸術家〜』(20)でパントマイム指導を担ったロリン・エリック・サルムから「猿人の動きとはなんぞや」の手ほどきを受け、いっぱしのサスカッチへと成長していった。


 そして群れのリーダー役を担うのは本作の監督(の一人)であるネイサン・ゼルナーだ。彼は都合上、サスカッチ姿のままでカメラ脇に立って演出したり、スタッフに指示を出したりすることも少なくなかった。そのシュールな光景を想像するだけで鳥肌が立つ。まさしく本作は神の目線であり、なおかつサスカッチの目線に基づいて撮られていたわけである。




PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. サスカッチ・サンセット
  4. 『サスカッチ・サンセット』ビッグフットの知られざる生態がここに!?頭で考えずに本能で味わう”セリフなし”ネイチャームービー