1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. サスカッチ・サンセット
  4. 『サスカッチ・サンセット』ビッグフットの知られざる生態がここに!?頭で考えずに本能で味わう”セリフなし”ネイチャームービー
『サスカッチ・サンセット』ビッグフットの知られざる生態がここに!?頭で考えずに本能で味わう”セリフなし”ネイチャームービー

©2023 Cos Mor IV, LLC. All rights reserved

『サスカッチ・サンセット』ビッグフットの知られざる生態がここに!?頭で考えずに本能で味わう”セリフなし”ネイチャームービー

PAGES


人間に近いが、しかし人間ではない存在



 兄弟監督はインタビューの中で「隣り合った観客がそれぞれ全く異なる解釈をしてくれることこそ最大の喜びの一つ」(*2)と語っている。なるほど、こんなにも観客の感受性に委ねられた映画もそうない。中には本作の荒唐無稽さ、お下劣さに怒り出す人もいるかもしれないし、かと思えば、恍惚の表情で地球上のあらゆる命への愛情が込み上げてくる人もいるはず。


 だが、ゼルナー兄弟の目論見を想像するに、我々の意識を”人間に近いが、あくまで人間ではない未知なる存在”の視点へシフトさせ、そうやっていつもと異なる視座からこの世界を再認識させることこそ、この映画の真の狙いなのだろう。



『サスカッチ・サンセット』©2023 Cos Mor IV, LLC. All rights reserved


 森を彷徨い、家族を抱きしめ、そして夕暮れ時になると、この世界のどこかにいる”仲間”に向かって木を打ち鳴らし、せっせと音で呼びかける。その瞬間、生命が自分以外の誰かの存在を切に求め続ける根源的な孤独に触れたかのようで、思わず胸が張り裂けそうになる。


 誰も呼びかけに応えない。新たな仲間は現れない。だが、こうして客席で何かを感じた時点で、私たちの本能は彼らの呼びかけに無意識のうちに応えてしまっているのかもしれない。これは相変わらず「どうかしちゃってる」が、同時に共感と絆の映画でもあるのだ。


*1)参考

https://newsletter.oscars.org/news/post/jesse-eisenberg-riley-keough-sasquatch-sunset-interview

*2)引用

https://www.slantmagazine.com/film/david-and-nathan-zellner-interview-sasquatch-sunset/



文:牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。




『サスカッチ・サンセット』を今すぐ予約する↓





作品情報を見る



『サスカッチ・サンセット』

新宿ピカデリーほか全国公開中

提供:ニューセレクト 配給:アルバトロス・フィルム

©2023 Cos Mor IV, LLC. All rights reserved

PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. サスカッチ・サンセット
  4. 『サスカッチ・サンセット』ビッグフットの知られざる生態がここに!?頭で考えずに本能で味わう”セリフなし”ネイチャームービー