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『コート・スティーリング』今度のアロノフスキーは一味違う⁉︎ ニューヨークを駆け巡る、爽快で共感力いっぱいの活劇

『コート・スティーリング』今度のアロノフスキーは一味違う⁉︎ ニューヨークを駆け巡る、爽快で共感力いっぱいの活劇

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これまでで最も素顔に近い⁉︎ バトラーの魅力に完落ちする



 さらに本作における究極の要素こそ、オースティン・バトラー。これに尽きる。これまでの彼は、『エルヴィス』(22)や『デューン 砂の惑星PART2』(24)などの外面的にも内面的にも”変貌を遂げた役”が多かった。ところが、この映画では従来とは全く異なる新たな姿を見せてくれるのだ。


 そもそも、アロノフスキーとバトラーの出会いは、『エルヴィス』と『ザ・ホエール』が共に賞レースを席巻していた頃、彼らは授賞式ツアーで頻繁に顔を合わせるうちに意気投合し、アロノフスキーはバトラーにハンク役をオファーしたのだとか。


 だが、撮影に先んじてアロノフスキーからひとつ注文があったという。それは「これまでのように役を徹底的に深く掘り下げるのではなく、少しだけ気楽に、リラックスして臨んでほしい」ということ。おそらく本作をご覧になった方はこの一言に深く納得されるのではないだろうか。



『コート・スティーリング』


 これまでとの決定的な違い、それはバトラーのキュートな素顔にとても近い、心と体が密に連動した表情が満ち満ちている点だ。だからこそ、スクリーン上でハンクが思い詰めた面持ちで悩んでいると我々も何だか心配になり、逆に精一杯に勇気を振り絞ろうとしていると「がんばれ!」と思い、必死になって逃げていると「そのままスピードを上げて突き進め!」と願わずいられない。つまり我々は、完全にオースティン・バトラー演じるハンクの応援団と化してしまうのだ。


 こうした結果、『コート・スティーリング』は、ハンクの身に降りかかったピンチ/チャンスの物語でありながら、一人の人間を垂直に掘り下げ過ぎるのではなく、むしろスピードを保ったままニューヨークという空間を躍動的に走り回らせる”距離移動”によってキャラを際立たせ、全体を活気づかせる作品となった。


 これほど観客をワクワクさせながら「人と街」を描いて見せたアロノフスキーの新境地に、私は拍手を送りたい。かつてのように賞レースに絡んだりはしないだろうが、これは時代を超え、従来のファンでなかった人をも巻き込みながら、幅広く愛され続ける快作。音楽に乗せて暴れ回るエンドクレジットに至るまで、最高に楽しい一作だ。


参考資料)

https://variety.com/2025/film/news/austin-butler-caught-stealing-underwear-apartment-1236497016/

『コート・スティーリング』プレス資料



文:牛津厚信 USHIZU ATSUNOBU

1977年、長崎出身。3歳の頃、父親と『スーパーマンII』を観たのをきっかけに映画の魅力に取り憑かれる。明治大学を卒業後、映画放送専門チャンネル勤務を経て、映画ライターへ転身。現在、映画.com、EYESCREAM、リアルサウンド映画部などで執筆する他、マスコミ用プレスや劇場用プログラムへの寄稿も行っている。



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作品情報を見る



『コート・スティーリング』

全国公開中

配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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