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『ドラマなふたり』2026年上半期ベストムービーの1作、ベルイマン作品との関連
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イングマール・ベルイマンの影響
ボルグリはプリプロに入る前、メインキャラを演じる4人の俳優たちにポール・マザースキーの『ボブ&キャロル&テッド&アリス』(69)とラース・フォン・トリアーの『メランコリア』(11)を観ておくように指示したという。前者は夫婦交換(スワッピング)をいち早くテーマに選んだ意欲作であり、後者は地球滅亡と結婚式を対比させたSFドラマだ。監督がこの2作を演技のテキストとして選んだ意図は分からなくもない。
それよりも、ゼンデイヤとパティンソンにだけ観ておくよう指示したという、イングマール・ベルイマンの『沈黙の島』(69)の方が重要だ。作品は、北欧映画界のレジェンド、ベルイマンが晩年を過ごし、映画『ベルイマン島にて』(22)の舞台にもなっているバルト海に浮かぶ孤島、フォーレ島で出会った4人の男女の物語。主人公の元受刑者(マックス・フォン・シドー)と美しく謎めいた未亡人(リヴ・ウルマン)とが親交を深めていく過程で、お互いの身に起きた過去の出来事が捏造だと分かった時から、感情的な対立へと発展していく。2人の側には、隣人で控えめな建築家(エルランド・ヨセフソン)とその妻(ビビ・アンデショーン)がいる。男女4人に意外な事実の提示という要素は、『ドラマなふたり』と『沈黙の島』に共通する。実際、映画をご覧になれば分かると思うが、チャーリーとエマが暮らすリビングルームの壁には『沈黙の島』のポスターが意味ありげに貼られている。

『ドラマなふたり』© 2026 Dramatic Movie Rights LLC. All Rights Reserved.
さらに、『沈黙の島』では風が吹き荒ぶバルト海の孤島を舞台に、脚本や演出を凌駕したカメラが、まるで人間ドキュメンタリーを撮るかの如く俳優の本質に迫っていくのに対し、『ドラマのふたり』で撮影監督を務める、『ボーンズ アンド オール』(22)等で知られるアルセニ・カチャトゥランは、特にクローズアップショットで効果を発揮するパナビジョンミレニアムXL2を回してゼンデイヤとパティンソンに肉薄している。撮影の手法でも2作の間には共通項がありそうだ。
しかし時代は移ろい、映画作家としての概念も、置かれた環境も異なり、ボルグリは映画のラストにハリウッド的な温かい着地点を用意している。そこが、辛辣だが決して後味は悪くない、本作最大の魅力かもしれない。
偶然か否か、共演が相次ぐゼンデイヤとパティンソン
それにしても、ゼンデイヤとロバート・パティンソンは今後もクリストファー・ノーランの『オデュッセイア』(9月11日公開)、そして、『デューン 砂の惑星PART3』(12月18日公開)と話題作での共演が続く。『オデュッセイア』の配給元はゼンデイヤとパティンソンに箝口令を敷いていたため、2人はメディアが報道するまで互いが共演することを知らなかったという。そんなことあるだろうか? 人気者には話題作が集中するのは業界の定石ではあるが、本作『ドラマなふたり』に関しては当代随一の売れっ子俳優2人がガチで渡り合った、彼らにとっての代表作になるはずだ。
ちなみに、『ドラマなふたり』はイギリスのガーディアン誌が選ぶ2026年現時点でのベストムービーに、『オブセッション 災愛』や『バックルームズ』と共に選出されている。
アパレル業界から映画ライターに転身。現在、映画com、MOVIE WALKER PRESS、Safariオンラインにレビューやコラムを執筆。また、Yahoo!ニュース個人にブログをアップ。劇場用パンフレットにもレビューを執筆。著書に『オードリーに学ぶおしゃれ練習帳』(近代映画社刊)、監修として『オードリー・ヘプバーンという生き方』『オードリー・ヘプバーン永遠の言葉120』(共に宝島社刊)。
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配給:ハピネットファントム・スタジオ
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