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「伝説」となっ たクイーンの、2回のターニングポイントとは!?『ボヘミアン・ラプソディ』

「伝説」となっ たクイーンの、2回のターニングポイントとは!?『ボヘミアン・ラプソディ』


ウェンブリーの観衆の心を一気につかんだ18分



 そして、バンドとしての最盛期は過ぎ、人気に陰りも見えてきた1984年、さらに大きな危機が訪れた。南アフリカでのコンサートだ。当時、アパルトヘイトが原因で、国連によって南アフリカとの文化交流はボイコットの申し合わせがなされていたにもかかわらず、クイーンは南アフリカの一大リゾート、サンシティでコンサートを敢行したことで、世界中から「政治的」にバッシングされる。


 分裂しかかった絆と、ファンの信頼、落ちかけた人気。それらを劇的に修復したのが、ふたつ目のターニングポイントとなる、1985年7月13日、ロンドンのウェンブリー・スタジアムでの「ライブ・エイド」である。ボブ・ゲルドフが呼びかけ、エチオピア飢餓救済のチャリティとして行われたこのコンサートは、ウェンブリーとアメリカのフィラデルフィアのジョン・F・ケネディ・スタジアムで同時開催され、世界150カ国に生中継された。 ポール・マッカートニーボブ・ディランスティービー・ワンダーなど錚々たるアーティストが参加したが、その多くがチャリティと割り切り、全力を出すモチベーションというわけではなかった。与えられた時間内で観客にもなじみのない新曲を披露する者もいて、要するに「顔見世」的パフォーマンスが目立ったのである。




 そこに登場したのが、復活をかけたクイーンであった。「ボヘミアン・ラプソディ」に始まり、誰もが知るヒット曲を全身全霊でぶつけてきたクイーン。明らかに他のアーティストとの姿勢とは異なる、その約18分のステージはウェンブリーの観衆の心を一気にわしづかみする。「レディオ・ガ・ガ」では観客すべてが、あの有名な手を叩くアクションを自然発生的に行い、その様子にクイーンのメンバーも感極まるのであった。クイーンの出番直前に、サウンドエンジニアがリミッターを上げ、大音量にしたことも功を奏したようだ(この部分も映画でしっかり描かれる)。



 映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、ライブ・エイドでクイーンのパフォーマンスが進むにつれ、チャリティの電話が増えていく状況が描かれるが、実際にテレビ中継の視聴者も、この日、クイーンのステージに最も感動していたのだ。主宰者のボブ・ゲルドフは、ライブ・エイドで最高のパフォーマンスを見せたのはクイーンだったと断言している。照明や大道具などの装置に頼らず、純粋に「ライブ」として勝負を挑んだクイーンが、勝利を得た瞬間でもあった。


 ライブ・エイドの翌年(1986年)、ウェンブリー・スタジアムでクイーンは単独公演を行い、2日間で15万人を動員。クイーン史上でも最大規模にして、最高のパフォーマンスと賞賛された。この公演の後、フレディ・マーキュリーのエイズの病状が悪化し、ウェンブリーは彼にとっても最後のツアーの一環となった。クイーンにとって「聖地」であるウェンブリーは、2018年10月、映画『ボヘミアン・ラプソディ』のワールドプレミアの会場にもなったのである。


 これは偶然だが、「ボヘミアン・ラプソディ」のレコーディングも日本ツアーの後で、ライブ・エイドへの出演を最終的に決意したのも、ジョン・ディーコンによると「その直前の日本ツアーを終え、ホテルで食事をしていたとき」とのこと。クイーンのターニングポイントを作った地は日本だった……というのは大げさにしても、本国イギリスよりも早い時期に多数のファンが生まれたのが日本であり、クイーン、そしてフレディ・マーキュリーが日本をこよなく愛したことは、揺るぎない事実である。



文: 斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。スターチャンネルの番組「GO!シアター」では最新公開作品を紹介。 


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『ボヘミアン・ラプソディ』

大ヒット上映中

配給:20世紀フォックス映画

© 2018 Twentieth Century Fox

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