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『ミッション』描かれなかった先住民自身の抵抗、物語の中心を問い直す

© Kingsmere Productions Limited. All Rights Reserved.

『ミッション』描かれなかった先住民自身の抵抗、物語の中心を問い直す

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描かれなかった先住民自身の抵抗



 本作の物語を理解するには、18世紀の南米で、スペインとポルトガルがどのように領土を支配し、先住民がどのような立場に置かれていたのかを知る必要がある。当時の南米では、ヨーロッパから渡ってきた入植者たちが土地や資源を支配し、先住民を労働力として利用していた。またメンドーサのように、先住民を捕らえて奴隷として売買する行為も大きな問題となっていた。


 こうした状況のなかで、イエズス会の宣教師たちは、グアラニーの人々を集めて共同体を築いていた。そこではキリスト教の布教だけでなく、農業や手工業、教育、音楽など、ヨーロッパの文化を伝えることも行われていた。映画に登場する伝道所も、グアラニーの人々が暮らし、音楽を奏で、共同体を営む場所として描かれている。


 もちろん、そこが理想郷になったともいえないだろう。そもそもキリスト教への改宗を進め、宗教や生活習慣を変えようとすることもまた、帝国主義的な側面がある可能性があるからだ。たとえそれが、善意に根差したものだとしても。本作は、そこに深く切り込んでいるわけではない。



『ミッション』© Kingsmere Productions Limited. All Rights Reserved.


 1750年にスペインとポルトガルの間で条約が結ばれた。これによって、イエズス会の伝道所を含む地域がポルトガルへ引き渡されることになった。そこに暮らすグアラニーの人々には、移住を求める命令が突きつけられる。自分たちが暮らしてきた土地や生活が、遠く離れたヨーロッパの君主たちの交渉によって左右されたのである。


 グアラニーの人々は、この決定を受け入れなかった。故郷を離れることを拒み、スペインとポルトガルの軍隊に抵抗した。自分たちの土地と共同体を守るために武器を取った先住民たちは、最終的に両国の軍隊に敗れる。ここで、他の先住民が別の先住民の集落を攻撃している光景は非常にショッキングだ。ある先住民が奴隷化されたり、部族間の争いなどの事情につけ込まれて利用されたという史実にある状況が、ここで描かれているのである。入植者の残酷さ、人間の醜さを強く表現している部分だ。


 ただここで重要なのは、現実のグアラニーの人々が、宣教師たちに導かれて受動的に動いていたわけではないということ。実際のグアラニー戦争では、先住民自身が自らの土地と共同体を守るために戦った。映画ではガブリエルやメンドーサが抵抗の中心に置かれているが、実際には宣教師たちが彼らとともに戦ったわけではない。ここにも、先住民自身の抵抗を、ヨーロッパ人の倫理的なドラマへと組み替えている本作の特徴が表れている。




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