© Dream Space Films Ltd/British Broadcasting Corporation/The British Film Institute 2025
『URCHIN/アーチン』鋭い観察眼とユニークな人物描写が魅力、俳優ハリス・ディキンソンの初長編監督作
2026.11.04
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独特のスタイルを持つ長編監督デビュー作
イギリス人俳優のハリス・ディキンソンをご存知だろうか?カンヌ最高賞受賞作『逆転のトライアングル』(22)ではディナー代金を払う払わないで恋人と泥沼の口論を始める若者を演じ、『ベイビーガール』(24)ではニコール・キッドマンの相手役。現在制作中のザ・ビートルズ映画4部作ではジョン・レノン役に抜擢され、さらに一時は「新ジェームズ・ボンド候補の一人」として名前が取り沙汰されたこともある注目株だ。
そんな彼の初長編監督作『URCHIN/アーチン』(25)は、派手さや奇抜さで突っ切るわけでもなければ、スピード感で押し切るわけでもない。むしろ社会に対する鋭い目線を持ち、その上、ユニークな人物描写と語り口で観る者をナチュラルに惹きつける。20代にしてこのようなスタイルを確立させられているのは驚きである。

『URCHIN/アーチン』© Dream Space Films Ltd/British Broadcasting Corporation/The British Film Institute 2025
一人の若きホームレスがたどる運命とは?
そこはロンドンの路上。主人公マイク(フランク・ディレイン)は、今日も「くの字」の姿勢で目覚める。彼はもう5年ほどホームレス生活を送っており、行き交う人々に小銭を求めたり、チャリティに駆けつけて食糧にありついたりしながら、1日はあっという間に暮れていく。
ある日、ホームレス仲間のネイサン(ハリス・ディキンソンが、脇役として出演)との言い争いが大乱闘に発展。その騒ぎを仲裁した親切な男性に対して、マイクはよりによって暴力を行使し、すかさず奪い取った腕時計を転売してしまう。その一部始終はCCTVに記録されており、逮捕された彼は塀の中の暮らしを味わう羽目に。
数か月後、かつて深刻だったドラッグ中毒はすっかり抜け、今では顔色も良好だ。担当のケースワーカーに心機一転を誓い、新たな職場や簡易宿泊先での日々が始まる。最初はうまくいくように思えた。何ら波風の立たない、順調な凪の期間が確かにあった。しかし、ふとした拍子に安定は揺らぐ。激しい不安や衝動に駆られたマイクは、気づけばまた「くの字」の状態へ舞い戻り…。