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ヨーロッパによる南米の植民地支配を描く、パルム・ドール受賞作
1986年に公開された『ミッション』は、カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを受賞し、アカデミー賞で撮影賞に輝くなど、当時大きく評価され、多くの観客の記憶に残った作品だ。その理由は、ヨーロッパによる南米の植民地支配という、歴史の内省を描いた点によるところが大きい。
『キリング・フィールド』(84)のローランド・ジョフィ監督が描いたのは、18世紀、南米を代表する大瀑布イグアスの滝周辺を舞台に、キリスト教の布教に努めるイエズス会の宣教師と、先住民「グアラニー」をめぐる史実を出発点にした人間ドラマである。ここでは、本作『ミッション』の画期的な部分と、現在の水準から見るその妥当性について考えてみたい。

『ミッション』© Kingsmere Productions Limited. All Rights Reserved.
この映画の舞台となる南米の内陸部(現在のアルゼンチン、パラグアイ、ブラジルにまたがる地域)では、当時スペインとポルトガルの勢力がせめぎ合っていた。ジェレミー・アイアンズ演じる、イエズス会の宣教師である神父ガブリエルが、険しい滝を越えてグアラニーの人々のもとへ赴いて布教を始めるところから、本作の物語は動き出していく。
一方、ロバート・デ・ニーロ演じる、先住民を捕らえて売り渡す奴隷商人として生きてきたメンドーサは、贖罪を求めてガブリエルのもとを訪れる。やがて彼も宣教師となり、ガブリエルとともにグアラニーの人々が暮らす伝道所で生活するようになる。それにしても、登場する宣教師の面々を、若々しいロバート・デ・ニーロやジェレミー・アイアンズ、さらにリーアム・ニーソンらが演じているのには圧倒されざるを得ない。非常に濃い印象の宣教団である。
1750年にスペインとポルトガルの間で結ばれたマドリード条約によって、伝道所のある地域をめぐる状況は変わっていく。ポルトガル側への領土移譲にともない、そこに暮らす先住民たちも奴隷化の危機にさらされることになったのだ。ガブリエルとメンドーサは先住民を守ろうとするが、その方法をめぐって二人の考えは分かれていく。武器を手にして抵抗する道を選ぼうとするメンドーサに対し、ガブリエルは信仰による非暴力を貫こうとする。