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重厚でドラマチックなオスカー受賞作『ディア・ハンター』に潜む、さらにドラマチックな事実とは?

重厚でドラマチックなオスカー受賞作『ディア・ハンター』に潜む、さらにドラマチックな事実とは?

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戦い終えたあとも続く、悲喜こもごものドラマ



 マイケルの機転によって生き延びた3人だったが、逃亡のさなかに離れ離れになり、ペンシルバニアに帰郷したのはマイケルだけだった。しかし、帰還の喜びはない。過酷な体験を経て、彼は以前のような陽気さを失っていた。昔のままに話しかけてくる、地元に残っていた仲間スタンやアクセルに明るく応えられない。得意の鹿狩りに行っても、引き金を引けない。拳銃を所有している弱気なスタンにカッとなり、その銃を奪い取ってスタンのこめかみに突き付けてしまうことも。この場面でデ・ニーロは“実弾入りの銃を使えば、もっと演技が良くなる”とチミノに提案。スタン役のジョン・カサールもそれを了承し、実弾入りの本物の銃が使用されたというから驚きだ。




 映画はこの後、両脚を失って傷痍病院に入院していたスティーヴとマイケルの再会、そして正気を失ったままベトナムに滞在してロシアンルーレットのプレーヤーとなっていたニックとマイケルの対峙へと発展し、結婚式で始まった映画は皮肉にも葬式で幕を閉じる。


 まだ本作を見ていない方のためにネタバレは避けるが、ひとつだけうんちくを披露すると、撮影監督のジグモンドは脚本を読んだ段階では、ラストが感傷的過ぎると感じていた。が、撮影を終えると、それが過ちであったことに気づく。カメラが止まったあと、その場面に登場する俳優たちが、あまりの悲しさ、せつなさから泣き出したのだ。映画という虚構を超えたドラマチックな物語であると同時に、本作のリアリティを物語るエピソードではないか。



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