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『アイリッシュマン』マーティン・スコセッシが描いてきたギャング映画への「落とし前」

『アイリッシュマン』マーティン・スコセッシが描いてきたギャング映画への「落とし前」

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60年間のアメリカの歴史を背景にした渾身の大作



 マーティン・スコセッシ監督の渾身の大作『アイリッシュマン』。見る前は3時間30分という上映時間の長さにひるむが、いざ、見始めるとすぐに画面に引き込まれていく――。


 ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシが中心人物を演じるギャング映画で、デ・ニーロ&ペシ共演の90年代のスコセッシの代表作『グッドフェローズ』(90)や『カジノ』(95)とトーンが似たところがあるが、こうした作品のようにカメラが派手に動きまわることなく、どっしりとかまえた映像で正攻法な作りになっている。ネットフリックスの作品ゆえ、どんなメディアにも対応できる構図を意識したのだろうか? それとも、老いた主人公の映画ゆえ、あえてゆったりかまえた映像にしたのだろうか。語られるのは老ギャングの追想ゆえ、彼の体力に見合ったカメラの動きを意識したのかもしれない。



 冒頭、カメラは老人たちの施設にいるひとりの老人を映し出す。車椅子に座り、手には杖を持った彼の名前はフランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)。


 「昔、家にペンキを塗るのはペンキ屋だと思っていたが、実は違っていた」


 「家にペンキを塗る」というのは裏社会の用語で、人殺しのことをさす(血しぶきが家に残るところから来ている)。フランクは全米トラック運転手組合(チームスターズ)のひとりで、「私も家にペンキを塗っていった」と過去の話を始める。


 そして、現代から70年代へと時計の針が戻る。そこでフランクは友人で、フィラデルフィアのギャングであるラッセル・バッファリーノ(ジョー・ペシ)やそれぞれの妻たちと4人で、ラッセルの親族の結婚式のため、デトロイトに向かっている。旅の途中で、ふたりは初めて出会った時のことも回想する。




 フランクは精肉を運ぶトラックの運転手だったが、ある時、ガソリン・スタンドでラッセルと出会い、友好を深める。第二次大戦に参加したこともあるシーランは銃の扱いにも慣れていて、ペンキ塗りの仕事に加担することで、まわりの信頼を勝ち得ていく。そして、彼はバッファリーノの紹介でチームスターズのドンであるジミー・ホッファ(アル・パチーノ)とも知り合う。


 映画は冷静なシーラン、物静かなバッファリーノ、感情的なホッファの3人を基軸にして、チームスターズとギャングたちとの関係を描き、その権力闘争をあぶりだす。60年代はエルヴィスやビートルズと並ぶ人気者だったといわれたホッファ。しかし、75年に失踪事件が起き、そのゆくえは謎のまま。そんな失踪事件のカギを握っているのが、シーランとバッファリーノで、映画では歴史の謎が少しずつ解き明かされていく。



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