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『ヒート』夢の競演!アル・パチーノVSロバート・デ・ニーロ、2大スターの名演をフィルムに定着させた名匠マイケル・マンの手法とは
『ヒート』あらすじ
仕事に疲れて一般的な家庭生活が送れない刑事ヴィンセント。冷徹無比の犯罪組織のボス、ニール。追う者と追われる者、虚々実々の駆け引きとせめぎ合い。やがて二人はそれぞれの抱える孤独のうちに、奇妙な共感を覚える。だが彼らには避けては通れない運命の直接対決が待ち受けていた。
Index
2人の名優は本当に競演していたのか?
1996年日本公開のクライム・アクションの傑作『ヒート』。最大の見所は何と言ってもアル・パチーノとロバート・デ・ニーロ、映画界を代表する2大スターの競演だ。
1974年の『ゴッドファーザー PARTII』にも2人は出演しているが、実際に顔を合わせるシーンはなかった。『ヒート』は正真正銘の初競演作として公開当時、多くの映画ファンから熱い期待をもって迎えられた。当時学生だった筆者も映画館へ駆けつけたのを鮮明に覚えている。
作品は完璧だった。しかし一部の映画ファンは喉に小骨が刺さったような気持ちを抱くことになった。パチーノとデ・ニーロ、確かに2人は競演しているように見えた…。「見えた」と書いたのは、2人が2ショットではっきりと1つの画面に収まっているカットが劇中に無かったからだ。一体これはどういうことなのか。2大スターが出演しているのに、顔がはっきりとわかる2ショットを撮らないなんて・・・。
実は2人は仲が悪く、撮影現場で顔を合わせないよう別々に演技を撮影し、編集によって、さも会話をしているように見せたのではないか・・・。映画ファンの間ではそんな都市伝説めいた噂がまことしやかに囁かれた。しかし、それは間違いだった。メイキングを見るとパチーノとデ・ニーロは確かに現場で顔を合わせ、激しい演技の火花を散らしていた。ではなぜ、監督のマイケル・マンは2ショットを使わなかったのか?その理由にこそ、『ヒート』が名作たる所以がある。
※上記タイトル部分の画像はメイキングより。