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『ファースト・マン』リスクを負い挑戦する姿が宇宙飛行士と重なる、デイミアン・チャゼル監督

(c)Universal Pictures

『ファースト・マン』リスクを負い挑戦する姿が宇宙飛行士と重なる、デイミアン・チャゼル監督

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観客の感覚を呼び覚ます主観映像



 本作で最もインパクトがあるのは、多くの場面が“主観的”な映像で撮られているという点だ。宇宙船のコクピット内部の、おそろしいほどの狭さや、そこで見る小さな窓からの漆黒の光景など、それらは壮大さを無視し、ときに映画的なスペクタクルを欠いた、パーソナルなスケールで描かれていく。


 しかし、この圧倒的なリアリティはどうだろう。観客は、そんな映像の連続によって、あたかも自分の体験であるかのように、命の危険がある月への旅や演習を“体感”できるのだ。もちろん、これが真にリアルな描写であるという保証はない。だが少なくとも、これまでの宇宙を舞台にした映画作品のなかで、最もそう思わせてくれる凄みを持っているように感じられるのだ。



『ファースト・マン』(c)Universal Pictures


 本作のリアリティを支えているのは、NASAの保管している膨大な資料である。しかしそれだけでなく、当時その場にいた人物に直接話を聞いて、「どんな“感じ”がしたか」を聞き出して映像を作っているのだという。つまり、そこには事実だけでなく、人間の感覚的な印象を再現しようという試みがとられている。



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