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  4. サイバーパンク、戦うヒロイン。『銃夢』とキャメロンの親和性から生まれた『アリータ:バトル・エンジェル』※注!ネタバレ含みます。
サイバーパンク、戦うヒロイン。『銃夢』とキャメロンの親和性から生まれた『アリータ:バトル・エンジェル』※注!ネタバレ含みます。

サイバーパンク、戦うヒロイン。『銃夢』とキャメロンの親和性から生まれた『アリータ:バトル・エンジェル』※注!ネタバレ含みます。


原作へのリスペクトと、キャメロンの刻印



 『アバター』が世界興収歴代1位を達成したのち、ロバート・ロドリゲスはキャメロンと話す機会を得る。2人はそれまで直接的なコラボレーションこそないものの、ロドリゲスが監督作『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』(03)および『シャークボーイ&マグマガール 3-D』(05)で、キャメロンが開発に携わった3D撮影システムを使用したというつながりがあった。


 キャメロンから「残りのキャリアは『アバター』の続編を作ることに費やす」と聞き、ロドリゲスは「『バトル・エンジェル』はどうなるんだい?」と尋ねたという。ロドリゲスも『銃夢』のファンであり、映画化に関心を寄せていたのだ。すでにキャメロンは脚本の初稿を書き上げていたが、とても1本の映画に収まらない長すぎるものだった。脚本を預かったロドリゲスは、キャメロンが原作から取り込んだエッセンスを尊重して残しつつ、構成要素を巧みに整理してスリム化に成功。晴れて監督を託されることになった。(※「Empire」のインタビュー記事より)


 キャメロンは製作と共同脚本にまわったものの、『アリータ:バトル・エンジェル』はストーリーとビジュアルの点で、原作へのリスペクトを感じさせつつ、キャメロン印もしっかり刻まれた映画となっている。



 冒頭、支配層の住む空中都市ザレムが、緻密に描き込まれた細部を伴って圧倒的なスケールで映し出される。その下に広がるクズ鉄町「アイアンシティ」のスクラップの山から、サイバー医師イド(クリストフ・ヴァルツ)によって発見されたアリータ(ローサ・サラザール)は、頭部と胴体の一部しか残っていないが、脳だけは奇跡的に生きていた。イドから機械の体を与えられたアリータは、記憶を失っているが、やがて300年前の格闘術「機甲術」を操る最強のサイボーグ兵器であることが判明。町を支配する勢力から狙われたアリータは、次々に放たれる強敵との戦いを余儀なくされる。


 映画の基本的な筋は、漫画のほぼ前半の諸要素を、時系列を若干組み替えて再構成したものとなっている。各キャラクターの設定もおおむね原作を踏襲しているが、アリータ、イド、そしてアリータに好意を持つヒューゴ(キーアン・ジョンソン)の3人は、年齢が原作よりも高めに変更された。そうすることで、原作では淡い感情にとどまっていたアリータとヒューゴの恋愛をより具体的に描くことが可能となった。


 ファイトシーンが目玉のアクション映画でも、主要人物の恋愛要素を描くことで観客の共感を高める脚本術は、『ターミネーター』『トゥルーライズ』『アバター』で実践済みであり、キャメロンの十八番と言ってもいい。また、イドの年齢を高くしたのは、かつて娘を失ったという設定にし、イドの父性やアリータとの疑似親子の関係性を強調するため。これには、執筆当時のキャメロンに13歳の娘がいたことが影響しているという。




 リスペクトの対象は漫画だけにとどまらない。OVAのオリジナルキャラクターでイドに想いを寄せる女医のチレンは、映画ではイドの元妻(ジェニファー・コネリー)としてストーリーに組み込まれた。さらに、コミックの完全版第6巻の付録DVD用に制作された3DCGムービーに、落下する水滴をガリィがダマスカスブレードで真っ二つにするショットがあるが、これも映画本編の中でほぼ忠実に再現されている。


 一方で、キャメロンの過去作を彷彿とさせるアレンジも散見される。生産施設と治安機関を兼ねるファクトリーで応対するロボット「デッキマン」は、原作ではギャグ漫画風のコミカルな顔だが、映画のデッキマンは『ターミネーター』のT-800から生体組織が失われたスケルトンフェイスを思わせる。また、墜落した宇宙船から人型兵器「バーサーカー・ボディ」を見つける場面(原作ではイドが発見したことが回想される)では、アリータが水底を歩いて宇宙船に向かうショットが追加されているが、これは『アビス』やドキュメンタリー作品『ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密』(03)で水中撮影を敢行したキャメロンの趣味が反映されたものだろう。さらに、ラスト近くのエモーショナルなシーンで、おそらく誰もが『タイタニック』の感涙必至の名場面を思い起こすであろうショットも用意されている。



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