(c) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
『ダンケルク』クリストファー・ノーランが世界最高解像度のIMAXカメラで収めた、戦争という名の膨大な浪費
フィルムとデジタル。監督それぞれの視点
ノーランは懐古主義で古き良きフィルムを選んでいるのではなく、あくまでも技術的な視点でフィルム撮影にこだわっている。そういう意味では、『アバター』などで最新デジタル技術を追求するジェームズ・キャメロン監督と、手法こそ違えども技術に対する姿勢は同じと言えるかもしれない。
ノーランと同じく非常に作家性の強いデビッド・フィンチャー監督(『セブン』『ソーシャル・ネットワーク』)は、彼の作風やトーンを見ると一見フィルム撮影にこだわりがありそうだが、実は全く逆。彼は常に最新のデジタルカメラで撮影に臨んでいる。彼の理由もとてもシンプル。「現場でトーンが確認できるから」だそうだ。
『ダンケルク』(c) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
ご存知の通りフィルムは現像しなければ撮影したものを見ることができない。映画撮影の場合は「ラッシュ」といって撮影した翌日に試写を行い、その内容をチェックするのであるが、フィンチャーはそれが耐えられないのだそう。「なんでこんなに明るく写ってるんだ!」など、とにかく自分の思い通りの「画」が撮れてなかった時の落差が大きいようで、トーンをある程度現場で確認出来るデジタルカメラでの撮影の方が、ストレスもなくて断然いいそうなのである。なるほど、、彼の意見にも納得するところはあるが、こだわるポイントには監督それぞれの理由があるようだ。