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『ダンケルク』戦闘機も船も実物を使用。過剰なまでの「本物志向」で、先達の意思を受け継ぐクリストファー・ノーラン

『ダンケルク』戦闘機も船も実物を使用。過剰なまでの「本物志向」で、先達の意思を受け継ぐクリストファー・ノーラン

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    当時のスピットファイアを飛ばして撮影



     映画は「作りもの」である。近年、CGの進化に伴って、予算と時間さえあれば、その場に存在しない風景やキャラクターを映像として表現することが可能になった。もはや実写とアニメーションの境界さえもなくなってきたと言える。


     超大作にとって常套手段となったCGを、できる限り使用しないことで有名なのが、クリストファー・ノーラン監督。とくに実写へのこだわりが強く反映されたのが『インセプション』で、モロッコや東京、パリ、ロンドンなど短いシーンでもロケーション撮影を敢行。CGかと思われる風景も巨大なセットを建てていたりする。その他、デジタル全盛の現在において、あくまでもフィルムで撮影することにこだわる映画作家としての誇りや、作品が完成するまでの完璧な秘密主義(筆者も『ダークナイト』の撮影現場の取材に行ったが、現場自体は直接見せてくれず、モニターのみの見学だった)も、ノーランの特徴。


     そんなノーランにとって、初めての実話の映画化となったのが『ダンケルク』だ。史実を再現するというわけで、ノーランの「リアル志向」は当然のごとく、最大限に発揮された。


     その最たる例が、戦闘機スピットファイアだ。第二次世界大戦中、フランスの海岸の街、ダンケルクでの陸・海・空での戦闘を描くにあたって、最もCGが必要とされる空中戦でも、ノーランは本物の戦闘機を飛ばしている。美術班は、現存し、整備されていたイギリス軍のスピットファイア3機を確保。さらにドイツ軍のメッサーシュミットは、同型であるスペイン空軍の戦闘機を借りてきて使用した。それらを実際にパイロットが操縦して、撮影に使ったのである。



     「海」に関しても、1940年代の当時から残る船舶、数十隻が9カ国から集められた。その中には全長100m以上もあるフランスの駆逐艦「マイレ=プレゼ」も含まれていた、この駆逐艦は博物館に展示されていたもので、すでにエンジンの機能がないため、現場まで曳航されてきたという。


     そして「陸」で驚くのは、ダンケルクの海岸に無数の兵士が並んでいるシーン。現代の常識なら、CGのコピペだと考えてしまうが、エキストラだけでなくボール紙で作った「人型」も多用している。本物志向には反するかもしれないが、あくまでも実写にこだわるノーランの姿勢が現れた典型例だろう。



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