2019.06.20
アクションを盛り立てるユニークなガジェット
ガジェットの面白さもシリーズの面白さのひとつだが、1作目ではそれほど種類は多くはない。が、多くないからこそ印象に残る。ピカッと光ってエイリアン目撃者の記憶を消す“ニューラライザー”は頻繁に用いられるだけに、インパクトは大きい。対エイリアン用のマシンガンタイプの大型銃もクライマックスで効力を発揮する。
『メン・イン・ブラック』(c)Photofest / Getty Images
また、JとKの車の反重力機能はクライマックスを面白くする要素。渋滞のトンネルで、その天井を疾走するカーアクションに目を見張った観客は少なくないだろう。プレスリーの曲を鳴らしながら嬉々として運転するKと、不意のさかさま状態に慌てふためくJの凸凹コンビぶりが、ここでも笑える。この撮影では車内にジョーンズとスミスを置き、それをセットで実際にさかさまにして撮影したとのこと。監督によると、スミスはその際、密室状態のなかで放屁して、ジョーンズを困らせた……というコメディ映画の撮影現場らしい、笑えるエピソードも残されている。
笑いとスリル、そして娯楽映画ならではのアッパーなノリ。それらがスピード感とともに和えられてエンタテインメントを構築する。『MIB』の魅力はそこにあり、シリーズはそれに則って製作され、発展を遂げてきた。これから最新作を見ようと思っている方は、そんなシリーズ特有の妙味に注目して、楽しんでみてほしい。
文: 相馬学
情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。
(c)Photofest / Getty Images