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『シャフト』時代を超えて蘇る、受け継がれるヒーロー像!
時代を繋ぐ新たなシャフト誕生
2000年版『シャフト』でのジョン・シャフト役は、リチャード・ラウンドトゥリーではなく、サミュエル・L・ジャクソンが起用された。この頃のサミュエル・L・ジャクソンは、既にベテランで『パルプ・フィクション』(94)ではアカデミー助演男優賞にノミネートされる実力派であった。
『黒いジャガー』が公開されていた頃から、舞台に立ってキャリアを開始していたサミュエル・L・ジャクソンもまた、ジョン・シャフトのファンだった。しかし、2000年版『シャフト』でサミュエル・L・ジャクソン演じたジョン・シャフトは、ジョン・シャフト・2世だ。『黒いジャガー』でオリジナルのジョン・シャフトを演じたリチャード・ラウンドトゥリーは、ジョン・シャフト・1世として登場し、ジョン・シャフト・2世は彼の甥っ子という設定である。
オリジナルの『黒いジャガー』にて、監督を務めたゴードン・パークスもカメオ出演しており、シャフト1世と共にシャフト2世の良き理解者であり協力者となっている。そのようなオリジナルと繋がる設定で、サミュエル・L・ジャクソンは、自分なりのジョン・シャフト・2世という新しいキャラクターを作り上げたのだ。
サミュエル・L・ジャクソンと言えば、「マザーファッカー」という侮蔑語で罵る姿を映画ファンなら1度は見た事があるだろう(恐らく一度ではなく、ほぼ毎回見ているはずだ)。今回のサミュエル・L・ジャクソンのジョン・シャフト・2世でも、「マザーファッカー」という言葉が出てくるが、いつものテンションとは違う、リチャード・ラウンドトゥリーのジョン・シャフト・1世にどこか似た、静かに沸々と怒っているのが伝わる「マザーファッカー」であった。
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そして、『黒いジャガー』と2000年版『シャフト』の明らかな違いは、女性キャラクターにある。『黒いジャガー』の頃は、主役でヒーローなんだから、どうせなら女性にモテた方が良いと、毎回とにかく女性にモテた。そして、それもジョン・シャフトの「パワー」の一つの象徴だった。
だが、2000年版『シャフト』は違う。シャフトと絡む目撃者も女性(トニ・コレット)で、警察の協力者(ヴァネッサ・ウィリアムス)も女性だったが、彼女たちとのベッドシーンなどはなかった。ヴァネッサ・ウィリアムスが演じたキャラクターに至っては、シャフトと同等に戦う仲間として描かれている。女性の色気を売り物にしていた昔とは全く違う。『黒いジャガー』というオリジナルが存在し、新たなジョン・シャフト・2世が誕生したからこそ感じる、時代の大きな変化である。