『シャフト』時代を超えて蘇る、受け継がれるヒーロー像！

受け継がれるヒーロー像

　ところで、ジョン・シャフトが誕生した頃から変わらないのが、警察と黒人コミュニティの関係性だ。『黒いジャガー』では、私立探偵であるジョン・シャフトは、警察とは最初から一線を引いていた。2000年版『シャフト』では、ジョン・シャフト・2世はそんな警察の一部である刑事なのだ。

　刑事として、黒人コミュニティのために戦おうとしたジョン・シャフト・2世ではあったが、警察や権力者と黒人コミュニティの関係性は昔のまま変わらない。いずれジョン・シャフト・2世と警察は決別する運命にあったのだ。そんなところも、2000年版『シャフト』は実に巧みに描いており、ジョン・シャフトの美学を受け継いでいる。

　このように時代にあった新しいジョン・シャフト像を監督・共同脚本家として作り上げたのが、ジョン・シングルトンである。若干24歳の時に『ボーイズ’ン・ザ・フッド』（91）にてアカデミー賞の監督賞と脚本賞にノミネートされ、監督賞の方では最年少記録、そして黒人監督として初のノミネートとなった。先日4月28日、まだまだこれからという時に51歳で早逝してしまった。

　冒頭で書いた通り、2019年、また再びシャフトが戻ってくる。今度は、ジョン・シャフト・2世の息子ジョン・シャフト・3世が登場予定だ。どんな形でジョン・シャフトという愛されるヒーロー像が受け継がれているのか、非常に楽しみである。

文：杏レラト＜あんずれらと＞

雑誌「映画秘宝」（洋泉社）を中心に執筆。著書『ブラックムービー ガイド』（スモール出版）が発売中。

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作品情報を見る

『シャフト』

DVD：1,429円＋税

発売元：NBCユニバーサル・エンターテイメント

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※2019年6月の情報です。