(c)Photofest / Getty Images
『ALI アリ』チャンプ / モハメド・アリを描きあげた、ウィル・スミス、マイケル・マン、エマニュエル・ルベツキという最強布陣
モハメド・アリを支えた人々
本作のクライマックスは、1974年10月3日に行われた「キンシャサの奇跡」と呼ばれる、ジョージ・フォアマンとのヘビー級タイトルマッチだ。冒頭の1964年からちょうど10年。2016年に74歳で他界したモハメド・アリの人生において、この10年は非常に濃いものであった。ボクサーとしての戦いもあったが、ネイション・オブ・イスラムの教徒として名前を改名し、ベトナム戦争の徴兵拒否などでボクシング界から干されたこともあった。
そんな10年間、モハメド・アリは多くの人に支えられた。セコンドのドリュー・”バンディーニ”・ブラウン(ジェイミー・フォックス)、プライベートで関わった3人の女性たち、モハメド・アリを撮りつづけたカメラマンのハワード・ビンガム*(ジェフリー・ライト)、ネイション・オブ・イスラムを通じて精神を支えたマルコムX(マリオ・ヴァン・ピーブルズ)、テレビを通じてモハメド・アリの魅力を伝えたスポーツジャーナリストのハワード・コーセル(ジョン・ヴォイド)たちだ。
『ALI アリ』(c)Photofest / Getty Images
映画では、アリのプライベートなシーンも多く出てくるため、彼の人間臭い部分も垣間見られる。そこからは、アリが人に好かれるばかりでなく、彼自身が一番人間を愛していることがよく分かる。
*本作の制作総指揮の1人でもある。