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『ALI アリ』チャンプ / モハメド・アリを描きあげた、ウィル・スミス、マイケル・マン、エマニュエル・ルベツキという最強布陣
最強布陣で挑む芸術品
このアリの人生を描き出したのは、『ラスト・オブ・モヒカン』(92)や『ヒート』(95)のマイケル・マン監督だ。マイケル・マンは徹底的に下調べすることでも知られており、モハメド・アリのボクシングだけでなく、リング外での戦いもドラマチックに、そしてモハメド・アリへの尊敬と愛を感じる演出で作品に仕上げた。
撮影は『ゼロ・グラビィティ』(13)のエマニュエル・ルベツキ。2014年から3年連続でアカデミー撮影賞を獲得し、これまで計8回もノミネートされている才人だ。「キンシャサの奇跡」のシーンでは、雨が降る中集まった大群衆に向かい、リングロープに登ったモハメド・アリが、腕を空に突き上げる。バックに流れるサリフ・ケイタの曲「トゥモロー」と相まって、この美しく感動的なシーンが生まれたのは、ルベツキならではの絵作りのおかげだろう。
『ALI アリ』はモハメド・アリという愛されたチャンプを描くため、映画というリングに最強の布陣で挑んだ作品なのである。
文: 杏レラト<あんずれらと>
雑誌「映画秘宝」(洋泉社)を中心に執筆。著書『ブラックムービー ガイド』(スモール出版)が発売中。
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