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『トッツィー』はコメディじゃないと言った、ダスティン・ホフマンの涙の理由

『トッツィー』はコメディじゃないと言った、ダスティン・ホフマンの涙の理由


『トッツィー』はフェミニズム映画!?



 だが、撮影となると話は別だった。劇中でドロシー・マイケルズに関わる人々は勿論、観客にも、彼が女性であることを納得させなければならない。撮影中、ホフマンは毎日3時間にも及ぶ特殊メイクに耐えた。そのメイクのベースはラテックス製だったため、皮膚呼吸が困難になり、どう頑張っても5時間の着用が限界だった。メイク中は食事もできず、ストローで料理を吸引するしかない。バストにはシリコン、ヒップには特注のパッドを装着する。全身の体毛を剃る。などなど…。


 ホフマンは、準備段階から女性であるための苦難を痛感していた。彼女たちが、男たちのために日々いかに涙ぐましい努力をしているかということを。そしてそれが、男が女に強いる身勝手な思い入れの裏返しであることを。もし、自分が女性だったとして、男がすね毛を見て気持ち悪がったとしても、毎朝時間をかけて剃毛したり、コルセットでウエストを締め付けたりは絶対にしない!!それが、ホフマンがドロシー・マイケルズを通して得た教訓だった。彼にとって『トッツィー』はコメディなどではなく、身を以て異性を実感したフェミニズム映画なのである。




 結果、1983年のアカデミー賞では、偶然か否か、『トッツィー』のダスティン・ホフマン、『ビクター╱ビクトリア』(82)のジュリー・アンドリュースとロバート・プレストン、そして、『ガープの世界』(82)のジョン・リスゴーと、女装または男装をして役を演じた俳優たちが、演技賞の候補に挙がった。そういう意味で1983年のアカデミー賞は、ハリウッド映画における役柄の領域や性別に対する意識が変わった、今に繫がる画期的な年だったのかもしれない。



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