1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. トッツィー
  4. 『トッツィー』はコメディじゃないと言った、ダスティン・ホフマンの涙の理由
『トッツィー』はコメディじゃないと言った、ダスティン・ホフマンの涙の理由

(c)1982 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

『トッツィー』はコメディじゃないと言った、ダスティン・ホフマンの涙の理由

PAGES


『トッツィー』あらすじ

俳優マイケルは向こう気の強さからニューヨーク中のプロデューサーを敵に回し、さっぱり仕事が回ってこない。窮地に立ったマイケルは、女装し“ドロシー”と名乗ってオーディションに出場、見事大役を勝ち取る。すべてがトントン拍子に進んでいたが、共演者のジュリーを好きになったことから歯車が狂い始め・・・。



 2012年にアメリカン・フィルム・インスティチュート (AFI)のインタビューに応えたダスティン・ホフマンは、インタビューの最後で感極まって声を詰まらせる。「僕はドロシー・マイケルズを演じるまでは、女性の本当の気持ち、心の奥底にあるものを理解できてなかったと思う。だから、僕にそれを気づかせてくれた『トッツィー』(82)は、あまりにも意味深くて、決してコメディなんかじゃないんだ」


 『トッツィー』では、40歳にもなっても売れる兆しが見えない、完璧主義者の俳優マイケル・ドーシーが、ある日突然、女優ドロシー・マイケルズに変身してTVドラマのレギュラーを奪取。あれよあれよという間にお茶の間の人気者になって行く。


 監督としても名高いバリー・レヴィンソンやエレイン・メイ等が関わり、友人でもある脚本家のマレー・シスガル(ラリー・ゲルバート共著)がようやく完成させた本作の脚本。それをホフマンが受け取った時から、凄まじい役作りが始まった。


Index


女性的な物腰と話し方は完璧に習得したが…



 女性的な外見と物腰を勉強するために、ブロードウェーで公演中のミュージカル「ラ・カージュ・オ・フォール」に何度も足を運ぶ。また、『クレイマー、クレイマー』(79)で共演したメリル・ストリープの前で、『欲望という名の電車』(51)のヒロイン、ブランチ・デュボワの台詞を読み合わせてもらう。そもそも、ホフマンがドロシー役に興味を持ったきっかけは、父親でありながら母親の役目を演じた『クレイマー、クレイマー』に端を発していた。



『トッツィー』(c)1982 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.


 さらにホフマンは、言葉に少しだけ南部訛りを加えると、自分の喋りのピッチにぴたりとはまり、より女性らしく聞こえることも発見する。


 さて、後は実践あるのみだ。試しに愛娘の保護者懇談会に、ドロシーおばさんとして出席してみたところ、出席した親たちも先生たちも、誰1人それがダスティン・ホフマンだと気づかなかった。同じ格好をして、友人のジョン・ヴォイトやメリル・ストリープ、キャサリン・ロスの前に現れてみたが、やはり誰も気づかなかった。しめしめ、これでうまく行くぞ。



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. トッツィー
  4. 『トッツィー』はコメディじゃないと言った、ダスティン・ホフマンの涙の理由