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『帰れない二人』猛烈に発達する中国の裏側で生きる、男女二人漂泊の人生

『帰れない二人』猛烈に発達する中国の裏側で生きる、男女二人漂泊の人生

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3部構成で描かれる男女の愛の物語



 今回の『帰れない二人』では三部構成でひと組の男女の17年間の時間の経過が描かれていく。


 最初の舞台は01年の山西省の街、大同(ダートン)。ヤクザのビン(リャオ・ファン)と彼の恋人、チャオ(チャオ・タオ)が主人公である。ふたりは渡世人として生きているが、やがて、ビンを救うために、チャオが銃を発砲。ふたりは刑務所に入る。


 次の舞台は06年の長江・山峡、奉節(フォンジェ)。出所した彼女は先に刑務所を出たビンに会うため、長江の客船に乗る。そして、目的地に到着すると、かつての恋人には別の女性がいることが判明する。ふたりは再会するが、彼の心はもとには戻らない。そんな彼を残して、チャオはひとりで旅立つ。




 最後の舞台は17年から18年にかけての大同(ダートン)。チャオは雀荘の女将となり、落ち着いた生活を取り戻している。そこで車椅子に乗ったビンが戻ってくる。歩けなくなった彼の面倒をみるチャオ。やがて、ふたりは新たな決断を下すことになる……。


 恋人たちの関係が大きな転機を迎えるのは01年に起きるギャングの襲撃事件である。ふたりは車で移動していたが、途中でギャングに取り囲まれ、銃の撃ち方をビンに教えられていたチャオは恋人を救うために発砲する。華やかなネオンがきらめくストリートで事件が起こり、任侠映画的なノワールな雰囲気があふれているが、この新作を撮るにあたり、監督はジョン・ウーやジョニー・トーなどの映画をイメージしながら作ったという。


 発砲シーンで流れるのは、サリー・イップが歌う「浅酔一生(愛に酔って)」(ウー監督の『狼/男たちの挽歌・最終章』の主題歌(89))で、「私は日々さすらっている。毎朝そして夜ごとに漂う心」という内容の歌詞が出てくる。




 この歌詞に象徴されるように、ふたりは漂泊の人生を送る。01年は北京オリンピックが決定した年、06年は山峡ダム本体が完成した年。そして、終わりは18年初頭である。21世紀に入ってから、すさまじいスピードで発達する中国。しかし、その街の裏側で生きる人々は何を求めているのか? 古い義理人情を重んじてきた渡世の世界はどう変わったのか? うつろいやすい風景の中にいる彼らを見ながら、こちらもそんなことを考えてしまう。



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