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『アバウト・ア・ボーイ』年の差を超えて育まれる思いがけない化学反応。人気俳優と子役の名コンビ映画は、なぜこんなに面白いのか!?
2019.12.08
画面に息づく、撮影現場で培われた濃密な関係性。
どんな名優も動物と子供には敵わないとよく言われる。だが、ここで起きた現象は他とはやや違ったようだ。なによりもヒュー・グラントは、ホルト君という最高のパートナーを得ることによって新たな壁を壊して新境地を開拓することができたのだから。
彼は表向きだと「ようやく僕を困らせない子供と出会うことができた」とか遠回しなことを言って茶を濁しているが、撮影現場では日々、ホルト君に様々なアイディアやアドバイスを提供して、まだキャリアの浅い彼のことをしっかりとサポートしていたのだとか。その上、二人の間ではアドリブが交わされることも多く、そういった脚本に束縛されない自由な流れが、二人の間に漂う“有機的な空気”を作り出していったことは言うまでもない。
『アバウト・ア・ボーイ』(c)Photofest / Getty Images
赤の他人だった二人が徐々に心を通わせていくストーリーラインは、まさに現場におけるグラントとホルトの関係性とシンクロするものでもあった。こうやって本人たちさえ与り知らない“ドキュメンタリー的な要素”が自ずと画面に滲み出てくるのも、非常にリアルな現象だ。結果的にこれらの魅力あふれるシーンの積み重ねは、多くの人に笑顔と涙をもたらすことになった。彼ら二人だったからこそ年齢を超えて互いを認め合い、本作を大ヒットへと導くことができたのだ。