監督と兼任したプロデューサー的役割
Q:全編を通して雪で覆われているのが、すごく象徴的で印象に残りました。何か意図はあったのでしょうか。
奥山:卒業制作の締め切りの3月を踏まえると、必然的に撮影は冬になりました。スケジュールは全く動かせない状況だったので、天気に関しては成り行きに任せるしかなかったのですが、それぞれのシーンで、程よく雪が積もったのは、運が良かったなって思います。
Q:撮影場所はどこですか?
奥山:群馬県の中之条です。地元の方々にはすごく協力していただきましたね。中之条にはフィルムコミッションがなかったのですが、撮影の説明に伺ったらすごく協力的になってくれたんです。撮影した学校は廃校だったのですが、撮影時間を融通してくれたり、教科書や制服、体操服まで無料で貸していただきました。
また、撮影時に知ったのですが、実はその廃校で毎年「伊参スタジオ映画祭」という映画祭をやっているんです。先日、その映画祭で本作も流してもらったのですが、実際に撮影したところで観てもらえるというのは、新鮮かつ幸せな体験でしたね。
Q:奥山さんは映画ではプロデューサーとしてはクレジットされてないですが、資金調達などプロデューサー的な役割も果たされてますね。
奥山:確かに資金調達は自分でやった面が大きいのですが、それほどかっこいいものではなくて、単純に借金しただけなんです。自分で貯めたお金と、友達や家族から出資してもらい、そこに借金も合わせてトータル500万円くらいで作りました。映画を作るには決して多くないお金を、プロデューサーとして入っていただいた吉野匡志さんに、どこにいくら使うべきか上手く配分していただきました。
また、映画が完成した後に、上映劇場を探し、配給会社を探し、宣伝会社を探し、といった一連のことを自分でやったので、それもすごく勉強になりました。