延長し続けたスケジュール
Q:三宅さんが作られた音楽に対して、レジス監督は涙を流して絶賛しつつも、翌日にはこの音楽でいいのかと悩まれていたことが多かったそうですが、お仕事された中には過去にもそのような監督はいたのでしょうか?
三宅:監督って「決める」のが仕事だと思うんです。もちろん、迷っていけない訳でないですが、「これが最高だ!」って言った後で二転三転されると、やっぱり驚きますよね。たまたまかもしれませんが、フランス映画では、こういうことが過去に二回ほどありました。その時は、時間切れで最後までお付き合いすることができず、残念ながら途中で降板させていただきました。
Q:今回も当初は三か月のスケジュールしかなかったそうですが、完成に一年半くらいまでかかったということは、三宅さんのことをずっと待ってくれていたのでしょうか。
三宅:そうですね。でも、ただ待っているだけじゃなくって、その間色んなことをずっとトライ&エラーして迷っているし、もちろんフランス人だからバカンスも組み入れてくる。彼らには時間は幾らでもあったみたいですね。その間にかかるポスプロ作業の予算を、どう工面していたかは謎ですけどね(笑)。
Q:劇場公開に間に合わせる必要はなかったのでしょうか。
三宅:最近こそアメリカナイズされて少し変わってきたようですが、どうやらフランスでは、そういうスタンスで映画を作ってこなかったみたいなんですよ。納得できたら完成と。もちろんカンヌに間に合わせたいとか、そういうことは言うのですが、それに間に合わなくなってくると、また来年もあるよね。みたいな話になるんです。ある意味理想的ではあるんですが。
Q:すごい制作スタンスですね。。それは驚きです。
三宅:そうですよね。私も驚きました。