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女優活動16年。それでも「今がスタート地点」。『ステップ』伊藤沙莉インタビュー【Actor's Interview Vol.4】

女優活動16年。それでも「今がスタート地点」。『ステップ』伊藤沙莉インタビュー【Actor's Interview Vol.4】

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山田孝之と真正面から向き合えた「1つのゴール」



Q:『ステップ』で伊藤さんが演じられたケロ先生、登場シーンからとても面白くて(笑)。いきなりずっこけて、彼女の人となりが一瞬でわかる名シーンでした。


伊藤:飯塚(健)監督からも「俺はこの人のすっ転ぶシーンにすべてが現われてると思うから、この転び方って考えてきてるよね?」って言われましたね(笑)。


飯塚さんとはもう6作・7作とやらせていただいてきて「今までさんざんふざけてきたから、今回は控えよう」と話していたんです。でも、そもそもケロ先生にはふざけられる隙がないので、「じゃあ……最初にかましとく?」となりました。


Q:(笑)。その前後で、三輪車で寄ってきた園児にかけるセリフも秀逸でしたが、台本にはあったんですか?


伊藤:あれはないです(笑)。飯塚さんから「三輪車がこっちに向かってくるから、何か笑えるレベルに強い言葉でどこかに行かしてくれ」と言われたので「散れ」って言わせていただいて。




飯塚さんは「毎回違う伊藤沙莉、他の監督の作品でも見えなかった新しい部分を見せていきたい」とずっと言ってくださってて、とてもありがたいですし、もう思いっきり飛び込むって決めてるんです。ずっこけて、結構盛大なアザができたんですけどね(笑)。


Q:最高の“ツカミ”でした。ちなみに以前、インタビューで「『全裸監督』チームはアドリブがすごい」と話されていましたが、今回の再共演でも山田さんはアドリブを繰り出されたのでしょうか。


伊藤:台本上にはないので私はアドリブだって勝手に思ってるんですが、(ケロ先生が)「私、結婚するんです」って伝えたときに、健一さんが「結婚っていいもんだよ」と笑ったあと、「大変だけどね」と付け加えるシーン。この「大変だけどね」を私は台本で見ていなくて、言われた瞬間にぐっと来ちゃって(笑)。とても大好きなシーンなんですが、そういう「心から出てきたアドリブ」を生み出せる山田さんは、どれだけ丁寧に役作りをされているんだろうって……。


Q:素晴らしいシーンでしたね。そんな舞台裏があったとは思いませんでした。


伊藤:山田さんは現場によって雰囲気がまったく違うので、「本当にすごい人だ」って毎回思います。『全裸監督』を経て、今回お会いしたらパステルカラーみたいなオーラを放っていました。「なんて穏やかな顔なんだろう」と思いましたね。




Q:確かに。山田さん、『全裸監督』とはまるで別人で驚かされました。


伊藤:尊敬してしまいますね。山田さんと初めてお会いしたのは、18歳のときの『悪の教典』(12)。そのときは階段ですれ違うぐらいのシーンしかなくて。その後に飯塚さんのドラマ『REPLAY & DESTROY』(11、15)でご一緒させていただいて、『全裸監督』があって、そして今回の『ステップ』。


今回の現場は数日間の参加でしたが、それなのに終わった後にフルで泣いちゃったんです。自分の中で感慨深かったというか……いつか山田さんと正面から一対一で会話する役をやりたいと思っていたので、今回の共演は、自分の中で1つのゴールになりました。



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