Index
- 作品の世界に溶け込み、物語の強度を上げる女優・伊藤沙莉
- 山田孝之と真正面から向き合えた「1つのゴール」
- 飛躍の礎となった「かわいいと思われなくてもいい」決意
- 『映像研には手を出すな!』で得た、新たな武器「足し算」
作品の世界に溶け込み、物語の強度を上げる女優・伊藤沙莉
伊藤沙莉は近年、映画『blank13』(18)、『寝ても覚めても』(18)、『21世紀の女の子』(19)、『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(19)、『全裸監督』(19)、『劇場』(20)と話題作・良作に次々と出演。テレビアニメ『映像研には手を出すな!』(20)では主演声優を務め、表現のフィールドを拡げ続けている。
彼女の演技は、一言で言えば「生きている」。出演時間やセリフの量に関わらず、役のバックボーンを自らの存在だけで“分からせる”能力がずば抜けている。主人公の親友、スナック嬢、メイクスタッフ……伊藤が纏う“リアリティ”は、画面に安定感をもたらすのだ。ゆえに、物語の中で愚直に生きる「市井の人々」を人間味たっぷりに演じてきた。
最新出演作『ステップ』(20)では、山田孝之扮するシングルファザー・健一を支える保育士・ケロ先生を好演。「撮影が終わった瞬間にフルで泣いちゃった」と言うほど、貴重な時間を過ごしたようだ。
9歳で芸能界入りし、現在25歳。15年以上に及ぶ芸能生活で「女優」としての在り方に悩み、引退を考えた時期もあったという。だが、屈託なく笑う彼女の表情には、雌伏の時を乗り越え「居場所」を見つけた多幸感が満ち溢れていた。