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松坂桃李出演の“攻めた”作品を堪能しよう。オススメ映画10選!

(C)2019『新聞記者』フィルムパートナーズ

松坂桃李出演の“攻めた”作品を堪能しよう。オススメ映画10選!

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松坂桃李出演のオススメ映画(2015~2017)





3.『日本のいちばん長い日』(15) 監督:原田 眞人 136分


松坂が、これまでの出演作とは大きく異なるテイストの役柄に挑戦した戦争映画。岡本喜八監督によって映画化もされたノンフィクションを、原田眞人監督が独自の解釈を加えて再映画化した。


太平洋戦争中の、1945年。戦争終結か、本土決戦か――。国の未来を左右する一大事に、要人たちは何を想い、どんな行動をとっていたのかを、原田監督らしい骨太な筆致で刻み付けていく。松坂は、本土決戦を悲願とする狂信的な陸軍少佐を、従来のイメージを覆す悪鬼のような形相で熱演。クーデターを画策する、重要なポジションとなる。なお、本作で共演した役所広司とは、『孤狼の血』(18)で再共演。


思想に取りつかれた人物の「怖さ」をまざまざと見せつけるとともに、戦争の時代に生まれ落ちたことで人格が形成されてしまった、「痛み」をも如実に感じさせる。表面的な悪役ではなく、生々しい人間臭さを色濃く纏った松坂の演技は、出色の出来だ。


この時期の松坂は、『ピース オブ ケイク』(15)ではオカマ、『劇場版 MOZU』(15)では青髪の暗殺者、『秘密 THE TOP SECRET』(16)では発狂する捜査員、『真田十勇士』(16)では霧隠才蔵(舞台版でも同役を演じた)と、どんどん役柄が広がっていった印象だ。


その一方、『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)のような映画にも出演し、助演としての存在感も発揮。ドラマ『ゆとりですがなにか』では、童貞教師をコミカルに演じ切り、新たなファン層を獲得した。ちなみに、のちに映画化される『娼年』の舞台版に出演したのも、『パディントン』(15)で洋画吹き替えに挑戦したのも、2016年だ。


こうして見ていくと、『日本のいちばん長い日』を境に、松坂の作品選びに大きく変動が起こったことが分かる。


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4.『キセキ あの日のソビト』(17) 監督:兼重淳 111分


演じるキャラクターに、ますます幅が出てきた松坂が挑戦したのは、人気音楽グループ「GReeeeN」の結成秘話を描いた音楽映画。それまでにも『マエストロ!』(15)など音楽が題材の作品には出演してきたが、本作ではメタルに傾倒するミュージシャンを演じた。


封建的な父親に反発する形で、プロのミュージシャンになったJIN(松坂)。しかし、飛び込んだ音楽業界は生易しい場所ではなかった。「売れなければならない」という強迫観念の中、バンド内に不協和音が生じ、メンバーは離脱。失意に沈むJINだったが、歯科医を目指す弟(菅田将暉)と仲間たちの音楽活動をサポートしていくなかで、プロデューサーとして覚醒していく。


髪を染め、無精ひげを生やしてワイルドないで立ちに変身した松坂は、菅田、横浜流星、成田凌、杉野遥亮といった面々が演じるメンバーの「兄貴分」として、力強くグループをけん引。これまでとはひと味違った魅力を見せてくれるほか、歌声も披露。1人でプロの重圧と戦い、屈辱を押し殺してレコード会社に頭を下げるなど、ナイーブな演技でも、作品に奥行きをもたらしている。


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5.『彼女がその名を知らない鳥たち』(17) 監督:白石 和彌 123分


吉高由里子の衝撃的な演技が話題を集めた『ユリゴコロ』(17)を経て公開されたのは、『凶悪』(13)の白石和彌監督によるラブミステリー。「登場人物、全員最低」が売りの本作で、松坂は不倫に精を出すデパートの社員を演じている。


同棲相手(阿部サダヲ)の給料で暮らす、自己中心的な女(蒼井優)。彼女は昔の恋人(竹野内豊)が忘れられず、デパートの社員(松坂)とも不倫関係にある。そんな折、昔の恋人の失踪、それぞれの過去といった“謎”が次第に明かされ、物語は予想しえない方向へと進んでいく。


登場人物への嫌悪感が、後半には逆転していくという鮮やかな仕掛けが秀逸な傑作。松坂が演じるのは、アダルトな色気を振りまきながらも中身は軽薄で、得意げに話す武勇伝は本の丸パクりという滑稽なキャラクター。「共感度ゼロ」で設計された人物だが、松坂の落ち着いた演技によって、妙なリアリティが付加されているのが興味深い。


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