松坂桃李出演のオススメ映画(2018)
6.『娼年』(18) 監督:三浦 大輔 119分
松坂が「口角を限界まで上げた」という怪演で魅せた『不能犯』(18)を皮切りに、2018年は話題作が相次いだ。そのうちの1本が、豪快な脱ぎっぷりと繊細な演技、濃厚なラブシーンが多くのリピーターを呼んだ『娼年』。2016年に主演した舞台の映画版となる。
生きる意味を見いだせない大学生(松坂)が、娼夫となることで世の女性の悩みと向き合い、自分自身に存在意義を見出していく。「丸1日かかった」という過酷を極めたベッドシーンは、松坂の役者魂の神髄を感じさせるが、それ以上に、1人の青年が大人の男へと美しく変化していくさまを見事に示した「陶酔するほどに完璧な“羽化”」には、目を見張る。
センセーショナルなだけではなく、主人公が女性たちのマイノリティな性的嗜好の受け皿となることで生じる「心の解放」を、清らかに掬い取ったセラピー映画的な側面も持つ本作。松坂が魅せる「役の成長」が、そのままテーマに繋がっている点も奥が深い。映画の領域でも、「松坂桃李に出来ない役はない」と知らしめた一作でもあろう。
7.『孤狼の血』(18) 監督:白石 和彌 127分
松坂が、国内の映画賞を総なめにする大車輪の活躍を見せた新たなる代表作。『彼女がその名を知らない鳥たち』の白石監督、『日本のいちばん長い日』の役所と再び組み、昭和末期の広島を舞台にした超・濃密なヤクザ映画を作り上げた。
暴力団の抗争の火種がくすぶる町で、均衡を図るために法も平気で犯す名物刑事(役所)。彼とバディを組むことになる名門大学出身の若手刑事(松坂)は、無茶苦茶な捜査方法に振り回されながらも、刑事の“魂”を学んでいく。
劇中で主役が転換する構造になっており、後半からフルスロットルをかける松坂の豹変ぶりは圧巻。目を血走らせ、全身から狂気が立ち上るようなギラついた激情で、物語を怒涛の勢いで加速させる。『娼年』とは別のベクトルで、役の成長を豪快に見せ切った作品といえるだろう。
興行・評価ともに大いに成功を収めた本作は、続編製作が決定済み。今回を上回る大立ち回りを見せてくれることだろう。
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