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松坂桃李出演の“攻めた”作品を堪能しよう。オススメ映画10選!

(C)2019『新聞記者』フィルムパートナーズ

松坂桃李出演の“攻めた”作品を堪能しよう。オススメ映画10選!

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松坂桃李出演のオススメ映画(2019)





8.『居眠り磐音』(19) 監督:本木 克英 121分


『娼年』が静、『孤狼の血』が動とするならば、ニュートラルなバランス感覚で「匠の仕事」をこなしたのが本作。陰謀に巻き込まれ、消えることのない業を背負った浪人を柔和に演じている。


普段はおっとりした優男だが、ひとたび戦闘に移ると、毅然とした剣豪に切り替わるという“ヒーロー”役を見事にこなし、華麗な殺陣も楽しませてくれる。松坂にとっては久々となる、アクションの見せ場が明確に用意された現場だったといえるかもしれない。


『娼年』でも見せた、立ち振る舞いの美しさ、点ではなく、動作の中で魅せる色気といった、松坂の武器が詰まった1本。声色も微妙に「時代劇仕様」に変えており、彼の起用さが感じられる。


2018年から2019年にかけては、ドラマにも精力的に出演。実写版『この世界の片隅に』(18)ではヒロインの夫に扮し、ドラマ版『パーフェクトワールド』(19)では下半身不随の男性を演じ、さらに大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(19)と続いた。


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9.『新聞記者』(19) 監督:藤井 道人 113分


『孤狼の血』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞に輝いた松坂が、翌年に主演男優賞を獲得する快挙を成し遂げた作品。俊英・藤井道人監督による類まれな映像センスと、リアルタイムで起こっている日本の事件を組み込んだ社会性の濃い物語が、奇跡的なバランスで両立している。


松坂が本作で演じるのは、あらゆる情報をコントロールするため暗躍する、内閣情報調査室の官僚。敬愛する先輩官僚が自死を遂げたことで組織に疑問を持ち、命の危険を冒して新聞記者(シム・ウンギョン)に情報を提供する――という非常に難易度が高い役どころだ。


巨大な権力に圧死させられそうな極限状態のなか、正義と信念、職務の狭間で葛藤する内面を、言葉ではなくわずかな目線の動きや瞬きに宿る緊張感など、微細に表現し尽くした松坂の職人芸は、達人の域にいる。


あわせて読みたい:虚構の文脈で、現実を斬る――『新聞記者』が社会派映画にもたらした「若き感性」


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10.『蜜蜂と遠雷』(19) 監督:石川慶 119分


直木賞・本屋大賞をダブル受賞したベストセラー小説を、松岡茉優主演で映画化。ピアノコンクールに挑む演奏家たちの苦闘を、イマジネーション豊かにつづる。


7年間表舞台から姿を消していた元・天才少女やナチュラルボーンの“異才”を持つ少年、世界レベルの正確性を誇る努力家など、多種多様なピアニストがひしめくコンクール。松坂が扮するのは、「天才とは別の世界にいる」男性だ。妻子持ちで、仕事の傍らピアノに励み、年齢制限ギリギリで「最後のあがき」に全てを懸ける。


才能の欠如を認めながらも、「生活者の音楽」で勝負しようとする気概を見せつつ、それでもやはり「持っていない」ことに対する激しい飢餓感や劣等感が透けて見える――という実に人間臭いキャラクターを、共感性たっぷりに演じた松坂。


努力の跡が垣間見えるピアノ演奏シーンはもちろん、劇中のインタビューシーンで魅せる「感情が発露するプロセス」は、鳥肌ものだ。


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演技力は言うまでもないが、作品選びの面白さに定評のある松坂。今後の待機作も、実写映画『耳をすませば』や、ハロー!プロジェクト所属のアイドルに青春をささげる男が主人公の『あの頃。』など、なかなかに攻めた作品が並ぶ。


本人は『GONIN』(95)や『スリー・ビルボード』(17)、『アルゴ』(12)等、世界中の映画を愛する生粋の映画ファン。先日YouTubeで公開された「オススメ映画紹介」の動画からも、松坂の映画への想いが存分に伝わってくる。



日本映画の旗手でありながら、斜に構えることも守りに入ることも何らなく、ただただ純粋に映画に魅了され続ける「愛すべき役者」――。松坂桃李という「人」自体の魅力も、一言では言い表せぬほどに無限大だ。




文: SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」「シネマカフェ」「BRUTUS」「DVD&動画配信でーた」等に寄稿。Twitter「syocinema

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