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正義のために立ち上がることは、人間として根源的な義務『コリーニ事件』マルコ・クロイツパイントナー監督【Director’s Interview Vol.59】

正義のために立ち上がることは、人間として根源的な義務『コリーニ事件』マルコ・クロイツパイントナー監督【Director’s Interview Vol.59】

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「モラルの旅」に出かけよう



Q:本作でもっとも困難だったことは何でしたか?


マルコ:撮影期間の短さですね。キャストも多く、複数の時代設定がある豪華な歴史映画を、たった33日で撮影するのはかなり大変でした。


法廷でのシーンが特に難しい。セットにいる人数が多いからなおさらです。エキストラ80人、ドイツの映画スター6人、そして国際スター1人が常に法廷のシーンにいたんです。ひとりひとりの俳優に個々に見せ場を作らなければならないし、脚本に書かれている内容を最大限、もしくは脚本を超える形で表現しなければいけない。


言葉の面でも身体面でも感情面でも、自分の限界を迎える時が来ます。監督としては、毎朝ジャケットを脱ぐかのように自分のエゴを捨て去り、映画にすべてのエネルギーを注ぐことが求められます。




Q:一方で、どういうところが満足できましたか?


マルコ:クルーの協調性がとても高かったところですね。また、トスカーナ州での撮影にもとりわけ良い思い出があります。僕は伝統的なイタリアンシネマの大ファンなので、かの地で撮影した映像を観て、まるで夢のような気持ちがしたし、映画の歴史に思いを馳せました。


映画製作において異なる二つの文化が合わさるといつも面白いですね。僕はアルプス以北でよく見受けられる、堅苦しくて物事がきっちり決まっている職人的なアプローチよりも、南部のおおらかな気質の方が好きなんです。


Q:最後に、映画を待っている皆さんにメッセージを。


マルコ:この映画は、是非映画館で見てもらいたいと思います。世界的に有名な役者が出演しているというのもその理由ですが、それだけではありません。本作は、これまで聞いたこともない司法スキャンダルを扱った作品だからです。ほとんどの人が知らなかった事実です。この作品に出てくるドレーアー法により、60年代から2000年代初頭までの間、数えきれないほどのナチの殺人者が時効とされ、訴追を免れてしまいました。


映画「コリーニ事件」は、フェルディナント・フォン・シーラッハの世界的ベストセラー小説を原作とし、こうした歴史をドラマチックかつ面白く仕上げた作品です。登場人物と一緒に当時にさかのぼり、「モラルの旅」に出発しましょう。



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監督:マルコ・クロイツパイントナー 

1977年西ドイツ生まれ。短編映画「DER ATEMKÜNSTLER」(00・未)は、ドイツ・オーストリア、スイスの映画学校の優秀な卒業制作映画に贈られる2001年度ファースト・ステップス・アワード(First Steps Award)にノミネートされた。「BREAKING LOOSE」(03・未)で長編デビューし、「SUMMERSTORM」(04・未)では2004年度ミュンヘン国際映画祭でプレミア上映され、観客賞を受賞し、50カ国の映画祭に招待された。彼の才能に感心したローランド・エメリッヒにより「TRADE」(07・未)の監督に抜擢される。続いて監督した『クラバート 闇の魔法学校』(08・未)は2008年にドイツで最もヒットした作品の一本になり、180万人の観客を動員、バイエルン映画賞で作品賞受賞、ドイツ映画賞でプロダクション・デザイン、作曲、音響など複数部門にノミネートされた。



構成:CINEMORE編集部






『コリーニ事件』

6月12日(金)、新宿武蔵野館、 YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国公開

(c)2019 Constantin Film Produktion GmbH

配給:クロックワークス

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