2.『君の膵臓をたべたい』(17) 監督:月川翔 115分
北村の知名度が一気に上がった、記念すべき一作。病魔に侵された少女と同級生の、切ない青春ラブストーリーだ。悲観的なところを見せず、限られた人生を満喫しようとするヒロインを浜辺美波が演じている。
対する北村は、物静かで感情の起伏が少ない少年を、淡々と演じているように見せかけつつ、少しずつ相手への興味が生まれ、やがて愛おしく感じていくようになる、という繊細な心のグラデーションを、1本1本編むかの如く丁寧に織りあげていく。
天真爛漫なヒロインの振舞いに、毎度新鮮に反応する“染まらない”妙演や、押し込めていた感情を爆発させて泣き崩れるシーンなど、北村の豊かな感性に裏打ちされた、高い演技力を堪能できる。北村は本作で、日本アカデミー賞の新人俳優賞ほか、多数の賞を受賞。
いわゆる「余命もの」「悲恋もの」ではあるが、北村の“静”の魅力と浜辺の“動”の魅力が絡み合い、月川翔監督による、柔らかく染みこむような風景描写と、丹念な心情描写もあって、深い余韻が広がる良作に仕上がった。
なお、北村と月川監督は『君は月夜に光り輝く』(19)でも再タッグを組んでいる。
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