この作品に参加して、役者としての覚悟が定まった
Q:太賀さんは本作をはじめ作家性の強い映画にどんどん出演されて、現在では『あのコの夢を見たんです。』『この恋あたためますか』と連続ドラマも2本放送中と、大活躍されています。ただ、以前に菅田将暉さんのラジオ番組で、下積み時代の悔しさを語っていらっしゃったのが印象的でした。どうやって不屈のときを乗り越えていったのでしょうか。
仲野:たしかに苦しい時期や相手にされない期間はありましたが、その中でも僕が腐らずにいられたのは、少なからず自分に手を差し伸べてくれた人たちがいたからですね。
僕が「この人素晴らしいな。尊敬できるな」と思った方々が気にかけてくださって、それが仕事になろうがなるまいが、僕にとってはすごく大きな支えでした。「この人に認めてもらえているんだったら、まだやれるかもしれない」と思えたんですよね。
Q:そういったご経験は、今回のたすくを演じるうえでも生きてきましたか?
仲野:直接的な因果関係はないですが、そうした時間もいまの自分を形成していると思えば、無駄ではなかったと思えますね。
15年近く俳優をやってきましたが、「こうありたい」「こうしたい」というモチベーションってずっと変わってないんです。だからつらかったし苦しかったんですが、いまこうやって色々な方に出会えて、作品を作ることができて、ということがあるから……。僕はこの『泣く子はいねぇが』という作品に出られて、覚悟が決まった感覚があります。
役者として、どうするべきか、何が正しいのか、どう振舞えばいいのか……ずっと迷いはありましたが、この作品が自分の中にあるというだけで、気持ちが定まったんですよね。だからこそこの先は、慎重にかつ大胆にやっていきたいなと思っています。