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『ジョゼと虎と魚たち』アニメ映画化の“挑戦”。タムラコータロー監督、かく語りき【Director's Interview Vol.101】

『ジョゼと虎と魚たち』アニメ映画化の“挑戦”。タムラコータロー監督、かく語りき【Director's Interview Vol.101】

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『文豪ストレイドッグス』スタッフによる、“出会い”のシーン



Q:『ジョゼと虎と魚たち』は、タムラ監督×ボンズならではの「動き」の表現も素晴らしかったです。『文豪ストレイドッグス』ファンとしては、ジョゼと恒夫の出会いのシーンの演出に「これだよ、これ!」と思いました(笑)。


タムラ:(笑)。まさしく、『文豪ストレイドッグス』のキャラクターデザイン・総作画監督の新井伸浩さんが、出会いのシーンは描いてくださいました。素晴らしい画を上げていただき、非常にありがたかったですね。



Q:あのシーンがあったことで、アニメーションとしての『ジョゼと虎と魚たち』の世界に一気に入ることができました。こういった思考法や演出術は、業界に入ってから学ばれたのでしょうか?


タムラ:業界に入る前からですね。今は細田守さんの絵コンテ集など、アニメ制作に関する多くの資料が出版されていますから、「こういう時はこういう風に表現するんだ」といった引き出しの積み重ねもあるかとは思います。


本作に関しては、説教臭い作品には受け取ってほしくなかったので、なるべくカメラワークなど、お客さんの“気を引く”ための表現は入れましたね。いかにして飽きさせないかは、常に考えていました。



©2020 Seiko Tanabe/ KADOKAWA/ Josee Project


Q:今おっしゃった、「説教臭くしない」という部分、非常に興味深いです。本作では、「障がいを持つということ」について、原作以上に踏み込んで描いていますよね。オリジナルの展開も含めて、試行錯誤があったのではないかと推察しました。


タムラ:たとえばトイレやお風呂はどうするのかとか、生々しさを軽減するためにあえて避けた表現はあります。なぜそうしたかというと、車椅子の方がご覧になったときに、気持ち良くないと思ったから。


今回は車椅子ユーザーの方にもご協力いただいて制作を行ったのですが、「車椅子の登場人物が出てくる作品はご覧になりますか?」と聞いたら「観ないですね」とのことでした。そんなやりとりがあったからこそ、そういう方にも前向きに捉えていただける作品にしたいなと思ったんです。




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