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『ジョゼと虎と魚たち』アニメ映画化の“挑戦”。タムラコータロー監督、かく語りき【Director's Interview Vol.101】

『ジョゼと虎と魚たち』アニメ映画化の“挑戦”。タムラコータロー監督、かく語りき【Director's Interview Vol.101】

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「身近にいそうな存在」にするべく、俳優を起用



Q:キャスト陣についても伺いたいのですが、中川大志さんや清原果耶さんには、どのようなアドバイスを行われたのでしょう。


タムラ:中川くんは最初、恒夫を結構受け身なキャラクターとして演じてくれていたのですが、実はジョゼを振り回す存在でもあるんだよ、というディレクションはさせていただきましたね。


勝ち気なヒロインに振り回される男の子の作品はいっぱいありますが(笑)、恒夫はステレオタイプな受け身のキャラとはやや異なっている。自覚なくジョゼを振り回している天然な部分もあるし、自分自身の夢に一生懸命だし、自分の世界があるがために周りが見えていない部分もあるんですよね。


清原さんに関しては、ご自身が非常に大人っぽいじゃないですか。10代にして30代の役を演じられるくらいの大人っぽさがあるので、ちょっと言い方は極端だなとは思いつつ、前半のはっちゃけたジョゼを表現してもらうために、「小学生だったらどうする?」とは伝えました。それくらい、一見幼稚な部分があるんだ、ということを言いたくて。


清原さんは「小学生とは何だろう……(ジョゼは)20歳オーバーだけど…」と戸惑っていらっしゃいましたが、僕も他の方がジョゼ役だったら「小学生」という言い方はしなかったと思います(笑)。落ち着いたイメージのある方なので、どういう言葉を伝えたらジョゼに肉薄できるか、非常に考えて選びました。中川くんも清原さんもすごく頑張って応えてくれて、結果を出してくれたので、とても嬉しかったです。



©2020 Seiko Tanabe/ KADOKAWA/ Josee Project


Q:お2人の演技、素晴らしかったです。「上手さ」はもちろんですが、時折にじみ出る、“身体性”が効いていました。


タムラ:「アニメーションはキャラクターが命」と言われることが多いですが、この作品では特異なキャラクターではなく、身近にいそうなキャラクターでいきたかったんですよね。服装もしょっちゅう着替えれば髪型も変わりますし、特徴的な口癖があるわけでもないので、生身の人間らしさがどこかしらに欲しかった。


専門の声優さんがやると、全員とはいいませんがカリカチュアし過ぎてこの世にいなさそうな雰囲気が出ることも多い。ドラマや実写映画をやっていらっしゃる俳優さんにリアリティの基準を作ってもらうことで、地に足がついているアニメーションのキャラクターを作り上げたいなと思い、今回お2人にお願いしました。




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