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『野球少女』チェ・ユンテ監督 これは成長物語ではなく、ヒーロー映画なんです【Director’s Interview Vol.106】
天才と言われる才能がありながらも、女子というだけでプロになれない。そんな韓国プロ野球界の壁に立ち向かった一人の少女を描く、映画『野球少女』。野球というスポーツを舞台に、社会における女性の厳しい現実を描いたのは、本作が長編映画デビュー作となる新鋭チェ・ユンテ監督。今回はメールインタビューという形式で、本作について監督に話を伺った。
Index
成長物語ではなくヒーロー映画
Q:社会における女性差別がテーマの中心になっていますが、それを野球/スポーツというジャンルで描いた理由は何だったのでしょうか?
ユンテ:私の妻が、野球をしている少女のドキュメンタリーを見たのですが、そこでは、その少女を天才野球少女のように持ち上げておきながら、実力があっても女子はプロには行けないと、まるで決めつけるような描かれ方をされていたそうなんです。でもその描き方は偏見で、本当は女子でもプロに行けるんです。
そんなこともあり、たまたまNBAのドラフトを目にした際、野球少女がプロを目指すストーリーを映画で作ろうと、ふと思いついたんです。
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Q:主人公のチュ・スインは、自身の置かれた境遇に悩みつつも、ひたすら黙々と練習に励みます。母親の勧める職場でもちゃんと働き、その勤勉な姿は胸を打ちます。道を踏み外すような展開にはあえてせず、ひたすら勤勉で真摯なキャラクター設定にした理由を教えてください。
ユンテ:私はこの映画を野球少女の成長物語ではなく、ヒーロー映画と位置づけていました。確信を持って信念を貫こうとしている1人の人物がいることによって、世の中が少しずつ変わっていく物語です。そのため、主人公は確固たる信念を持っていなければならず、芯が強くてぶれない人物でなければいけないと思いました。