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『Mr.ノーバディ』イリヤ・ナイシュラー監督 中年男が痛みと暴力によって人生を取り戻すユニークなバイオレンス映画【Director’s Interview Vol.121】

© 2021 UNIVERSAL STUD

『Mr.ノーバディ』イリヤ・ナイシュラー監督 中年男が痛みと暴力によって人生を取り戻すユニークなバイオレンス映画【Director’s Interview Vol.121】

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最初と最後が全く違うアクション映画



ナイシュラ―:脚本のリライトで参考にしたのが韓国映画のスリラー『甘い人生』(05/イ・ビョンホン主演)でした。デレクと私は色々な韓国映画を見ていたのですが、ボブは見ていなかったので、彼にも『甘い人生』を見てもらいました。同作のキャラクターにはリアルな「痛み」があって、人生についての興味深いストーリーと、素晴らしいアクションがありました。特に深みのあるストーリーについて参考にして欲しかったんです。


僕が渡された時点の脚本では、悪役は全く違うキャラクターでしたが、それをロシア人に変えることも提案しました。僕自身がロシア人なので、ロシア人の悪役なら敬意を持って、今までのハリウッド映画にはない、リアルなキャラクターを作れるだろうと思ったんです。今回私は、形としては雇われた監督で、脚本に名前はクレジットされていませんが、『ハードコア』と同じように、本作も自分が作り上げた映画だと感じていますよ。



『Mr.ノーバディ』© 2021 UNIVERSAL STUD


Q:脚本のリライトでは、特にどんなポイントに重点を置いたのでしょうか?


ナイシュラー:全ては主人公のハッチがやりたいからやっていた。暴力への回帰も全てハッチの選択だった。つまり、暴力に対しドラッグのように依存している男のドラマなんです。ですが表面的には、娯楽作として徹底的にポップコーン映画を目指しました。そうした方向性が決まったら、脚本のリライトは簡単で、テーマがうまく伝わるよう、セリフやシーンをどんどん書き換えていきました。


映画は最初、スローな感じで始まります。どちらかというとアート映画っぽい始まり方ですよね。しかしストーリーが進むにつれ、だんだんカラフルになり、最終的には典型的なアクション映画として終わります。最初と最後で全く違う映画のようで、しかも終盤はちょっと馬鹿げているように見えるかもしれません。それを観客が自然に受け入れられるような作りを目指しました。


劇中、クリストファー・ロイドの「栄光あるやり過ぎだ」というセリフがありましたが、本当にその通りの映画になったと思います。


ちなみに脚本を直し、スタジオに提出してすぐゴーサインをもらえましたが、この種の映画としてはかなりの規模の予算をもらえたんです。とてもラッキーでした。もちろんスタジオには「依存症のドラマ」とは言っていませんけどね(笑)。




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