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『ランボー ラスト・ブラッド』40年近くに渡るシリーズから考える、ジョン・ランボーの本質とは? ランボーシリーズ徹底解説!
2020.12.02
『ランボー ラスト・ブラッド』あらすじ
かつてアメリカ陸軍特殊部隊、通称”グリーンベレー”の兵士として、ベトナム戦争を生き抜いたジョン・ランボー。帰還してからはPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされながらも、伝説の戦闘マシンとして、世界各地で戦いに身を投じてきた。そんなランボーも今ではアメリカに帰国し、故郷アリゾナの牧場を営みながら、古くからの友人のマリアとその孫娘のガブリエラと、“家族”として平穏に暮らしていた。ところが、自分を捨てた実の父親がメキシコにいると知ったガブリエラが、ランボーの反対も聞かず一人で危険な地に踏み込み、人身売買カルテルに拉致されてしまう。怒りに燃えるランボーは、最愛の“娘”を救出し、一味への復讐を果たすため、元グリーンベレーのスキルを総動員し、戦闘準備を始める──。
ハリウッドを代表するスターとして、今もなおアクション映画の最前線に立つ名優シルベスター・スタローン。そんな彼の半身ともいえるキャラクターのジョン・ランボーが、最新作『ランボー ラスト・ブラッド』で11年ぶりに戻ってきた! そこで遠大なサーガとなった『ランボー』フランチャイズ4作品をCINEMOREならではのトリビア視点で振り返り、2020年12月2日にDVD &ブルーレイがリリースされる『ランボー ラスト・ブラッド』の見どころと、ランボーという稀代のアクション・アイコンの本質に迫ってみた。
Index
- 『ランボー』(82) 戦争の傷を負った反逆のリアリティヒーロー
- 『ランボー/怒りの脱出』(85) 戦闘のプロとして、同胞のために再びベトナムへ
- 『ランボー3/怒りのアフガン』(88) さまよえるランボー、新たなる争いの激戦地へ!!
- 『ランボー/最後の戦場』(08) 残酷をきわめた戦いで、おのれの本質を知る
- 『ランボー ラスト・ブラッド』(19) そして彼は立ち戻る、“一人だけの軍隊”に!!
- スタローンが考えるランボーの本質とは?
『ランボー』(82)
戦争の傷を負った反逆のリアリティヒーロー
『ランボー』予告
監督:テッド・コッチェフ 97分
行方不明になった友人を探しにワシントン州ホープを訪れた、ベトナム戦争帰還兵のジョン・ランボー。だがその風貌に不審を覚えた保安官ティーズル(ブライアン・デネヒー)から屈辱を受け、彼は正当な理由もなく拘留されてしまう。そしてランボーは地元の警察たちに排他的な扱いをされ、望まぬ反乱へと事態を拡げていく——。
ランボーの起点となった本作は、1972年に出版されたデイヴィッド・マレルのサスペンス小説「一人だけの軍隊」に基づく。この物語は、マレルが1968年当時のベトナム戦争報道とアメリカ国内の反戦暴動から着想を得たもので、輝かしい戦歴を持ちながら退役後はPTSDに悩まされた、元軍人で俳優のオーディ・マーフィをモデルにしている。そして「先制攻撃」を意味する原題“First Blood(ファースト・ブラッド)”は、ベトナム戦争帰還兵のランボーと、朝鮮戦争帰還兵であるディースル、それぞれの元軍人による対立を象徴し、閉じていた戦士としての性質を覚醒させてしまう、そんなランボーの苦しみを端的にあらわしている。
「ランボー役のリストに挙げられた俳優で、僕はいちばん下のほうだった」というシルベスター・スタローンは、余人に代え難い個性と、生々しい感情を捉えたパフォーマンスで共感を呼び、ランボーは『ロッキー』シリーズ(76〜)とともに彼の当たり役となった。鋼のような肉体に、ジェリー・ゴールドスミスの哀愁を帯びたテーマ曲など、それらの際立った要素がランボーのアイコン化に拍車をかけている。
なにより1982年の作品発表時、アメリカはベトナム戦争の失態と向き合い、苦しみに苛まれていた退役軍人たちの窮状を汲みつつあった。そんな時代に生まれたランボーは、戦争の傷を負ったリアリティヒーローにして、ベトナムの激戦で全てを失った人々を讃える、地に足のついたキャラクターとして人々の賞賛を得たのだ。