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『ランボー ラスト・ブラッド』40年近くに渡るシリーズから考える、ジョン・ランボーの本質とは? ランボーシリーズ徹底解説!
2020.12.02
『ランボー3/怒りのアフガン』(88)
さまよえるランボー、新たなる争いの激戦地へ!!
『ランボー3/怒りのアフガン』予告
監督:ピーター・マクドナルド 101分
シリーズ3本目となる本作は、ランボーがソ連軍の捕虜となったトラウトマン大佐を救出すべく、アフガニスタンに潜入し、地元ゲリラ部隊と協力してソ連軍との死闘を繰り広げていく。ソ連のアフガニスタン侵攻を材にとった今回は「脱ベトナム」を展開させ、シリーズの世界観が拡張されたことが大きなポイントだ。
監督は『ハイランダー 悪魔の戦士』(86)で知られるPV(プロモーションビデオ)出身のラッセル・マルケイで制作が進行していたが、スター映画としてのコンセプトを外れて自分のスタイルを優先させたことからスタローンと亀裂が生じ、セカンドユニットの演出を務めていたピーター・マクドナルドが監督を代行した。この急務ともいえる変更によって制作スケジュールはタイトになり、編集を3人体制で臨むこととなった。そのため前々作や『怒りの脱出』と比べて、最も高速的な緊迫感が全編にみなぎっている。なおマルケイの撮影部分は本編中に20分残っており、ソ連軍の砦を攻撃するシーンのほとんどは彼の演出部分だという。
本作はプレミア上映直前にソ連がアフガンから撤退し、タイミングの悪い公開となってしまい、政治的な主張を失ってしまっている。だがランボーというキャラクターの核心に触れる作品となっており、彼が兵士としての宿命を負った存在であることを全編にみなぎらせている。
なにより、ランボーの暴力組織への制裁は激化し、キャラクターに対する解釈は大きく拡大化され、超人的ヒーローとしての側面をあらわにしていく。そして映画がヒットシリーズになっていくのとは対象的に、その本質が見失われ、シリーズ休止の一因となってしまったことは否めない。