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『ランボー ラスト・ブラッド』40年近くに渡るシリーズから考える、ジョン・ランボーの本質とは? ランボーシリーズ徹底解説!

(C)2019 RAMBO V PRODUCTIONS, INC.

『ランボー ラスト・ブラッド』40年近くに渡るシリーズから考える、ジョン・ランボーの本質とは? ランボーシリーズ徹底解説!

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『ランボー/怒りの脱出』(85) 
戦闘のプロとして、同胞のために再びベトナムへ



『ランボー/怒りの脱出』予告


監督:ジョージ・P・コスマトス 94分


 前作で成功を収めた『ランボー』は、本作でベトナムの戦場を描くことになる。


 かつての上司であるトラウトマン大佐(リチャード・クレンナ)のもと、ランボーは恩赦と引き換えに米軍の作戦に参加する。それはベトナム戦争で置き去りにされた、自軍捕虜の実態を調査するものだった。だが現地に潜入して明らかになった捕虜たちの窮状、そして救援部隊の裏切りによって、事態はランボーの独断による捕虜奪還と、敵地での交戦へと発展していく。


 本作は米ソ冷戦のただ中に公開され、ランボーは戦闘のプロとしてベトナムの地へと戻り、映画は米兵捕虜を生還させるというナショナリスト的な英雄像を前面に出すこととなった。ベトナム戦争帰還兵を尊重する作りは前作と同じでありながら、ランボーというキャラクター自体の変化によって、映画は救出アクションとしての趣きを濃くし、そしてそのフォーマットは、以後のシリーズの基本構造となっていく。


 監督のジョージ・P・コスマトスは『カサンドラ・クロス』(76)や『オフサイド7』(79)といったアクションスリラー作品ですでに頭角をあらわしていたが、彼が1983年に手がけたピーター・ウェラー主演のサスペンスホラー『マッド・ティース』がお気に入りだったセイジ・スタローン(スタローンの息子)から推挙されての起用。それが奏功し、ゲリラ戦の描写などは非常に緊迫したものとなった。コスマトスはオファーを受けた理由のひとつに、名撮影監督ジャック・カーディフ(『黒水仙』(47)『赤い靴』(48))の参加を挙げており、そのオリエンタルな画作りは、前作とは違う舞台を印象づけるものとして大きな効果を放っている。


 また脚本には『タイタニック』(97)『アバター』(09)のジェームズ・キャメロンがクレジットされているが、初稿は彼の手によるもので、ランボーをサポートする相棒がいるというバディムービーのような設定を含んでいた。これはスタローンによってオミットされたが、結果としてランボーの孤独感は際立ち、ストイックな彼のキャラクター性がいっそう引き立つこととなった。



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