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怪作『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』!ジャンル映画への偏愛が、それ自身をも越境する

© 2017 Mandy Films, LTD. All Rights Reserved 

怪作『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』!ジャンル映画への偏愛が、それ自身をも越境する

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※2018年11月記事掲載時の情報です。


『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』あらすじ

過去のある男レッドは、愛する女性マンディと人里離れた場所で静かに暮らしていた。しかしマンディに固執する狂気のカルト集団によって、彼女は炎につつまれレッドの前で惨殺されてしまう。怒り狂ったレッドは、オリジナルの武器を携え復讐に向かう。しかし、彼の前には、得体のしれない姿をしたバイク集団が立ちはだかった――。


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ニコラス・ケイジVSチャールズ・マンソン



  怪優(もうこう呼んでも誰も文句は言うまい)ニコラス・ケイジ主演のアクションスリラー『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』を見て多くの人が連想するのはシャロン・テート殺人事件だろう。1969年8月、ロマン・ポランスキー監督の妻で妊娠8か月だった女優のシャロン・テートは自宅に侵入したカルト教団のメンバーによって殺害された。その殺害(実は標的は他の人物だった)を指示したのが、カルト教団のリーダー、チャールズ・マンソンだった。


 『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』はジェレマイアという男が率いるカルト教団に、妻を惨殺されたニコラス・ケイジ演じる男、レッドの復讐を描くが、ジェレマイアがミュージシャンを志していたが大成しなかったであろう過去を持つこと、信者に殺人を指示するのみで決して自分で実行しない点など、マンソンを相当に意識した描き方となっている。


 すでに事件から50年が経とうとしており、チャールズ・マンソン本人も昨年収監中の刑務所で死亡したが、マンソンとその教団が起こした事件は、映像や音楽のクリエイターたちに影響を与え続けている。クエンティン・タランティーノ監督の新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でもシャロン・テート殺人事件が題材になっている。



『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』 © 2017 Mandy Films, LTD. All Rights Reserved  


 マンソンはアメリカ現代史の闇を投影するのにはもってこいの人物だし、そのミステリアスな言動もクリエイターたちの創作意欲を刺激する稀有な存在なのだろう。多少意地の悪い言い方をすれば、マンソンは映画及びポップカルチャーへの愛情を作品で主張したがる「オタク」的な監督にとっては格好の素材とも言える。


 『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』の監督パノス・コスマトス(1974年生まれ)は70年代~80年代カルチャーへの愛情を隠さず、時代設定を1983年にしたのも、その時代に敬意を表してのことだという。事実『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』の中にはオタクが好む意匠が随所に散りばめられている。



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