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映画監督と撮影監督、そして先駆者たち ~メディアを超える映画監督~ 大根仁×吉田大八イベントレポート Vol.2(全2回)【CINEMORE ACADEMY Vol.23】

映画監督と撮影監督、そして先駆者たち ~メディアを超える映画監督~ 大根仁×吉田大八イベントレポート Vol.2(全2回)【CINEMORE ACADEMY Vol.23】

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前回大好評いただいた「CINEMORE ACADEMY」オンラインイベントの第二弾!8/31(火)に実施されたオンラインイベントを記事化しました。全2回でお届けしています。今回はVol.2! ※Vol.1はこちらから


今回のゲストは大根仁監督と吉田大八監督。映画・ドラマ・CM・舞台と、表現の場を横断して活躍する映画監督たち。ヒットを生み続けるクリエイターの姿に迫ります!  ぜひお楽しみください。




【ゲスト】大根仁 / 吉田大八 50音順/敬称略

 

【MC】CINEMORE編集長 香田史生 敬称略



イベント詳細はこちらから


Index


映画監督と撮影監督



Q:CM/MV出身監督と言われると、デヴィッド・フィンチャーしかり、そのビジュアルにも注目が集まりがちです。そういったビジュアルを担う撮影監督たちをテーマに、ここからはお話を伺いたいと思います。


大根:僕は結構作品によって変えますね。吉田さんも変えられますよね。


吉田:そう言われればそうですね。


大根:撮影と美術を変えないと、似たような癖が出ちゃう。これまでの作品と違うようにしたいという時に、やはり撮影と美術はすごく大きいと思うんです。


吉田:程よく緊張したいというのはありますね。やっぱり前と同じことはしたくない。もちろんみんな優秀な人だから、こちらの狙いを形にしてくれるのは当たり前なんだけど、それ以前にまず人間関係ですね。初めて仕事する人だったり、しばらく一緒に仕事してなかった人だと、自分の中でスイッチが入るような気がします。あとはやっぱりタイミングですよね。


大根:一緒にやりたいと思う人を何人かブックマークされているんですか。


吉田:例えば脚本を書きながら、この場面を誰だったらどう撮るんだろう、と想像するのは楽しいですね。逆に、その想像に影響されて脚本も変わってきます。


僕は自分でカメラを回すわけではないし、撮影に関して素人という自覚が強いです。なので、自分がこの物語をその人にいったん託せるかどうか、覚悟できるかどうかが大きいかな。


Q:CMの場合は演出コンテが存在して、だいたいそのコンテの通りにアングルを切っていくと思うのですが、映画の場合はどうされているんですか。


吉田:映画はカット割りまではします。あとは人物の出入りが込み入っていたり、合成スタッフとイメージを共有したいときには画コンテを描きます。


Q:大根さんはいかがですか。


大根:ものによりますけど基本的にはカットは割らないですね。脚本を書いている時に、芝居のプランも撮影も編集も音楽も全部頭に入っているんですが、その通りになっちゃうとすごくつまらない。なので現場に行って、役者に一度自由に動いてもらってイメージと違うところをちょっと修正します。どうやって撮っていくか決めるのはそこからですね。同じ芝居を通しで何度かやってもらって、2カメか3カメで色んなアングルから撮っていくスタイルです。


Q:日本映画の場合は基本的に1カメで撮影することが多いようですが、大根監督は3カメで撮られるんですね。


大根:素材が大好きなので(笑)、出来るだけたくさん欲しいですね。どの段階でも自分の想像以上のものが見たいし、編集でビックリしたいんですよね。


Q:吉田さんは大体1カメで撮られているんですか。


吉田:CMの時はほぼ1カメでやっていましたし、それに慣れています。でも映画は撮影現場の状況によって、複数用意することも増えてきました。『騙し絵の牙』では、撮影の町田博さんに頑張ってもらって、基本2カメで場合によっては頑張って3カメという日もありました。そうすると確かに撮りこぼす不安からは自由になるし、編集でテンポをコントロールしようと思ったら、素材は絶対あった方がいい。今、最初から最後まで1カメで撮れと言われたら相当ビビると思います(笑)。


大根:『騙し絵の牙』のルック、僕は結構びっくりしたんですよ。若いカメラマンを捕まえたのかなと思ったんです。撮影が町田さんで照明は渡邊孝一さんですよね。


吉田:そうです。超ベテランのお二人だから、今の聞いたらきっと喜びますよ。若いと思われて嬉しくないわけがない。


今回は最初から「(編集で)めちゃくちゃ早く切ります」と伝えていました。脚本自体は結構なページ数だったんですが、2時間を切るという自信があったんです。その意味では意識してやってくれていたのかもしれないですね。


大根:渡邊さんなんて、僕が20歳くらいの頃から知っている大ベテランなんです。僕の師匠の堤幸彦監督が映画を撮った時に渡邊さんとやられていて。たまに現場を手伝いに行ったりした縁で仲良くさせていただいていました。今でも日本アカデミー賞とかで会うと、「大根ちゃん、偉くなっちゃって。たまには呼んでよ」「いやいやいや!」みたいな。


吉田:渡邊さんはCMもやっていますよね。今は多分僕より渡邊さんの方が、CMの本数も多いんじゃないでしょうか。


Q:日本映画が1カメなのは、予算の関係だとばかり思っていたんですが、監督さんによっては「1カメの方が実はいいんだよ」とおっしゃる方もいらっしゃいますね。


吉田:2カメの方が時間がかかる場合もあります。撮影する場所の条件、照明、もちろん演技も含めていろんな要素によって判断します。でも最初にカメラが2台あったときは落ち着かなかったですよ。単純に集中できなくて。その後、どうジャッジすればいいのかは段々分かってきたし、現場では気付かなくても、撮っていたカットに後から編集で救われるという経験も沢山しましたね。




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