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映画監督と撮影監督、そして先駆者たち ~メディアを超える映画監督~ 大根仁×吉田大八イベントレポート Vol.2(全2回)【CINEMORE ACADEMY Vol.23】

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岩井俊二のこだわり



Q:岩井俊二さんについてはいかがですか。


大根:リスペクトももちろんありますが、ちょっと歯痒い思いというか、なんでこの人は日本映画界のトップを走ってくれなかったのだろうという思いがありますね。


Q:以前、大根さんは「岩井さんは日本のデヴィッド・フィンチャーになってもおかしくなかった」と書かれていましたね。


大根:そうですね。もちろん今も現役なので、これからもご活躍されるとは思いますが、もっと日本映画のトップをずっと走ってくれる人であって欲しかった。深夜ドラマから映画にいったという岩井さんの出自も含めて、レベルは全然違いますけど、僕はシンパシーを感じています。それまでの手法とは全然違うものを現場に持ち込んだり、編集も自分でやって、音楽も自分で作るといったやり方は、ものすごく影響を受けてますね。


吉田:岩井監督がビデオカメラを自分でいじって、従来出せなかったトーンを作ったという話を聞いて、それってミュージシャンぽい!と思ったんですよね。好みの音色を追求して、納得行くまで機材を調整するあたりが。技術スタッフに「仕方ない」と言われたら簡単に諦めていたその頃の自分も、刺激を受けました。


大根:対談や仕事で何度かお会いしましたが、見た目も含めて、存在として格好良いんですよ。


Q:岩井監督ってドラマと映画のイメージがありますが、実はCMも結構撮ってるんですよね。


吉田: SMAPが出ていたNTTのCMを覚えています。60秒ぐらいの長尺なんだけどすごくカッコよくて、これ誰だろうと調べたら岩井さんでした。当時の僕は、映画監督が撮るCMにちょっと偏見があって、普段2時間を扱ってるのに決まった尺でうまくまとめられるわけがないと思ってたのに、そのCMはひとつひとつの画の決まり方が抜群で、ちょっとレベルが違うなと感じたのを覚えています。


大根:岩井さんが深夜ドラマや『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』をやっている頃の対談で「監督の仕事の大きな部分の一つに予算以上に見せることがある」と印象的なことをおっしゃってましたね。観た人も喜ぶし、プロデューサーも喜ぶし、次の仕事にも繋がる。そこは監督として意識している。そう言っていた記憶があります。





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